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なるほど,これは確かに……彼の香りだ。「FFXIV」×「primaniacs」コラボレーションフレグランス第2弾のイベント“香りの語り部”をレポート
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当時は「よくあるIPアイテムの1つ」くらいに思っていたのだが,香水好きのゲーム内フレンドから「買ってみたけれど,しっかり香水だった」と聞き,ちょっと興味が湧いていた。製品を手掛けたのは日本の「primaniacs」というブランドで,マンガ・アニメ・ゲームなどのキャラクターをテーマにした香水を手がけているということを,このときに初めて知ったのである。
そんなある日,「ファイナルファンタジーXIV×primaniacs フレグランス第2弾」が発売予定とのニュースが飛び込んできた。
「FFXIV」エメトセルク,ヒュトロダエウス,ヴェーネスの魅力を表現したフレグランスを12月5日より受注販売
スクウェア・エニックスは,2025年12月5日11:00より「ファイナルファンタジーXIV」よりエメトセルク,ヒュトロダエウス,ヴェーネスの魅力を表現したフレグランスの受注販売が,オンラインギフトサイト「MOO:D MARK by ISETAN」で実施されることを発表した。
第1弾の暁の血盟に続く,第2弾の製品のテーマとなるのは……ファンからの支持もアツい,例の3人である。さらにその香りがいかに作られたのかを,調香デザイナー(香りを設計する人)自ら解説してくれる特別イベントまであるというので,非常に好奇心を刺激された。これはもう行くしかないであろう。
時間が合わなかったり,地理的に足を運べなかったりというファンも多いと思うので,ぜひ参考にしていただければと思う。
調香デザイナーが語る「ファイナルファンタジーXIV×primaniacs フレグランス」
本文へ入る前にお断りしておきたい。以降の文章内には「FFXIV」ストーリーのネタバレになるワードが含まれる。なお,フレグランスというワードは香水以外のイメージも連想させるため,本稿内で製品を指す場合は,基本的に「香水」で統一している。
今回,特別版「香りの語り部」が行われたのは,primaniacs銀座本店となる。「香りの語り部」について解説を挟むと,これは,primaniacs店舗のスタッフが,香りの変化に込められた物語を案内するというイベントだ。
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要するに「この香水にどのようなテーマを込めているか」を解説してくれるのだが,特別版では,製品作りの核ともいえる調香デザイナー自ら解説を担当する。ある意味,香りの設計者の生の声が聴けるというわけ(参加費は無料だが,事前予約制)。
参加人数は一枠10人〜15人程度であろうか。筆者は取材の打ち合わせのため,早めに現地に着いたのだが,すでに並んでいる猛者たちがいた。開始時刻になると店舗の2階に案内される。
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さて,先に「第2弾の製品のテーマになるのは例の3人」と記したが,具体的には,エメトセルク,ヒュトロダエウス,ヴェーネスの3人をテーマにした製品だ。
「FFXIV」のストーリーにも深く関わる,いわゆる古代人と呼ばれる面子である。この3人をテーマにしているだけに,やはり気になって気になって夜も眠れないというファンも多いのだろう。
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そうして始まる第2弾の解説……かと思いきや,まずは先に送り出された第1弾の製品の解説から始まった。
ムエット(香水が振りかけられた紙)が配られ,参加者が香りを確認しつつ解説が行われる。担当された調香デザイナーは,襟元に戦士(ジョブ)のピンバッジを付けられていたのが印象的だった。以下,簡潔にまとめておこう。
<primaniacsの香水そのものについて>
今回の「ファイナルファンタジーXIV×primaniacs フレグランス」に限らず,香りは付けてから5分から10分程度でミドルノートに変わり,30分から1時間程度でラストノートに変わる製品づくりが基本形だ。この変化で,キャラクターの物語を通しての成長や内面を表現する。
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・アルフィノ・ルヴェユール
透明感と品性を備える香り。若々しさの中にインテリジェンスを秘めるが,未熟で傲慢だった部分をトップノートで表現。仲間と共に理想を目指す成長を表現するミドルノート。柔らかさを感じるラストノートは頼れる双子の兄になった姿を浮かべる。
・アリゼー・ルヴェユール
パキッとしてハツラツさを感じさせる,鮮やかな香り。考えるより先に体が動く勝気な姿勢を表現する酸味のきいた,カシスのトップノート。ミドルノートで鮮やかさをまとうローズは威勢を保ったまま新たな芯となり,ラストノートは兄妹としての仲の良さを感じさせる。
・ヤ・シュトラ・ルル
華やかで品のある香り。知性を感じさせる涼やかなグリーンに甘さが秘めるトップノートから,華やかで重みを秘めるミドルノートは探求を止めない強さを表現する。包み込むようなラストノートは,1歩2歩引いた場所から見守る包容力を表現。
・サンクレッド・ウォータース
鋭いキレでスッと入ってくる香り。したたかなチャラさと立ち回りのうまさを表現するトップノートから,ソイルが弾けるようなパチッとジリジリしたミドルノートへ。軸を残しつつジリジリさが抜けるラストノートは,最後の1人になっても仲間を守る強い思いを感じさせる。
・ウリエンジェ・オギュレ
ミステリアスさを醸し出す香り。敵か味方かも分からないような形容しがたいトップノートから,内省の中に甘さや温かみを感じさせるミドルノートへつながる。穏やかな質感の中に秘めた芯を感じるラストノートは,静かに寄り添う姿を思い起こさせる。
・グ・ラハ・ティア
まだ見ぬ冒険に心を躍らせる香り。少年のようなキュートさと飾り気のない瑞々しさを押し出したトップノート。温度感を下げるミドルノートでは,気高さや勇敢さを持つ水晶公としての彼を表現し,ラストノートではかわいらしさと頼もしさを併せ持つ,彼の新たなる冒険を表現する。
・エスティニアン・ヴァーリノ
存在感を確立した力強い香り。復讐を秘めた顔が見えない竜騎士のインパクトを表現するトップノート。熱を帯びるミドルノートは入り混じる雑味を感じ,雑味が引くラストノートは和解を経た心境の変化や光の戦士と対等な目線で接する彼なりの気遣いを表現する。
・クルル・マイア・バルデシオン
さまざまな明るさを持つ香り。かわいらしさの中に煌めきを秘めたフルーツのトップノートから,透明感のある大人びたミドルノートは挑戦を表現。温かさと柔らかさを持つアンバーのラストノートは,再会の温もりを伝える。
・タタル・タル
滑らかな質感のスエードを思わせるミルキーな香り。笑顔で送り出すような明るいトップノートから,ときに剛腕のような意志の強さを感じさせるミドルノートが広がり,温もりに溢れる優しさのラストノートに帰結する。
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以上が第1弾の解説である。文量の関係上,かなり簡潔にまとめたが,なんとなく「ふむふむ。なるほど」となっていただけるのではないだろうか。
筆者個人としては,アルフィノとアリゼー共通のラストノートで,ムスクをまとうシダーウッドが印象深かった。加えて,アルフィノのほうが少しだけ複雑な要素を持ち合わせており,最終的に頼れる兄,どこか甘える妹という対比を感じたのだ。
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すでに読み終えた気分になっている読者もいると思うが,今回の古代人の3人はここからだ。余談だが「皆さんエメトセルクの香りを確認しにお越しになられましたね?」との前置きに,会場はドッと湧いていた。
・エメトセルク
強大な存在感。重厚感,品,厳か,絶対忘れることのできない香り。思わず眉間にしわを寄せるような苦労感を携えるトップノートから,渋みや重みが増すミドルノートは,背負う責任の大きさや孤独を表現する。極めて穏やかな香りが広がるラストノートは“あの時”を思い起こさせ,星の海を漂うような余韻が続く。
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・ヒュトロダエウス
(さっきの苦労はなんだったんだ)と思わせる,常に微笑を浮かべて楽しむ香り。フルーツの香りが広がるトップノート。つながるミドルノートは活発ながら品性や時代を感じさせ,柔らかなラストノートは飾り気のない楽しさで幾度の再会を願う。
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・ヴェーネス
神秘的で厳かな雰囲気。いかなるときでも輝きを絶対に失わない香り。楽しさを感じさせる柔らかいトップノートから,クリスタルの変化を思わせるミドルノートは慈愛や意志を表現。甘くも淡いラストノートは,記憶として残り続けるさまを表現する。
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いかがだろうか。その場に参加していた方々も「あ〜」と声にならない頷きをしていたり,「そうくるかぁ……」と楽しんでいた様子である。拍手で幕を閉じた解説のあとは,実際に肌につけたり,写真を撮ったりして楽しんでいたようだ。
これはあくまでも個人の感想ということに注意してほしいが,エメトセルクのムエットを嗅いだ第一印象は,「エメトセルクよりハーデス」だった。なのだが,香水はムエット(紙など)に噴射した場合と,実際に人の肌に乗せた場合で,印象が異なることはよくある。
当日はこれを見越して香水をつけていなかったため,噴射されたばかりのムエットを肌にのせて改めて確認したところ,「おお!エメトセルクだ!」となったのである。もちろん偶然だろうが(筆者がそう思っただけなのであろう),人の温度でエメトセルクになるというのが大変面白かった。
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筆者はヤングでナウい文化に疎いので知らなかったのだが,最近では,ぬいぐるみ(ぬい)に香水をつけるのも,流行しているそうだ。そもそも香水自体,必ずしも人前でつける必要があるものではない。つけすぎに注意しつつ,自分なりに楽しむのが一番良いと思う。
「primaniacs」の代表取締役に偶然の遭遇
香りの解釈と成り立ちに唸りつつ撮影をしていると,一人の関係者と思われる人物が筆者のもとへ歩んできた。その人物とは「primaniacs」を展開するまさめやの代表取締役,加藤絢子氏だ。
どんなに多忙でも,必ず週に1度は店舗を視察し,ときには自ら「香りの語り部」の解説役を務めることもあるという,アクティブな代表取締役だ。当日も「ファイナルファンタジーXIV×primaniacs フレグランス」第2弾を試したカスタマーの反応を見るために店舗に足を運んでいたところ,筆者も偶然その場に居合わせたらしい。
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氏いわく,現在は「primaniacs」ブランドをメインに展開するまさめやだが,以前は香水以外のアイテムも展開していたという。香水をメインに勝負するようになった理由を教えてくれたのだが,それは「お客様の目の輝きがまるで違ったから」とのこと。
「作ってくださってありがとうございます」を飛び越え,「〇〇だ!連れて帰ります!」というカスタマーの反応を目の前で見て,「コンテンツを愛するメンバーで作る高品質な香水は,同じくコンテンツを愛するお客様に絶対分かっていただける」と確信に至ったという。
「お客様の笑顔と目の輝きが何よりの原動力です」と語る氏の目指すものが,なんとなく理解できた気がするし,この場でも手ごたえを感じているようだった。
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余談だが,「primaniacs」が手掛けるどの香水でも,リソースをもっとも消費するのは「解釈作り」らしい。
ゲームやアニメ,漫画といった基礎はもちろん,設定資料集を読み込み,世間でどのように認識されているかなど徹底的に要素を洗い出したうえで,担当者同士が「これは!」「いやいや!」などと,議論をぶつけあうのも日常なのだという。そうして完成した解釈をもとに,制作作業へ入っていく。
コンテンツ,キャラクターに対して真正面から真摯に取り組み,高品質なプロダクトとしての香水を生み出す取り組みは非常に興味深いものがある(日本らしいモノづくりでもあるだろう)。加藤氏からはここで語り切れないほどさまざまなお話を聞くことができたので,別の機会があれば,ぜひ紹介したい。
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「ファイナルファンタジーXIV×primaniacs フレグランス」の完成度は,キャラクターをテーマに香りで再現するというコンセプトもさることながら,そもそも香水としての完成度が高かった。大変失礼な言い方になるが,良い意味で,予想を裏切られたと言うのが正直な感想である。
第1弾,第2弾の製品ともに,「香りの語り部」が開催されていない期間でも,primaniacs銀座本店で確認できる。製品は受注販売(予定数量に達し次第,期間内でも受付終了)となり,オンラインギフトサイト「MOO:D MARK by ISETAN」で購入が可能だ。期間は2025年12月21日20:00までとなるので,気になる人はお早めに。
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- ライター:夏上シキ
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