インタビュー
[インタビュー]「ブラスタ」6周年! YSK氏×塚口ディレクターが語る,ビジュアル制作秘話とキャラクターデザインへのこだわりを独占公開
本日(2025年9月10日),スマホアプリ「ブラックスター -Theater Starless-」(iOS / Android。以下「ブラスタ」)は,リリースから6周年を迎えた。ショーレストラン「Theater Starless(シアター・スターレス)」を舞台に,“ワルメン”たちが生きるアンダーグラウンドな世界を描く本作は,個性的なキャラクターと重厚なストーリーで多くのファンを魅了している。
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昨年に引き続き,今年も4Gamer独占でお届けする周年記念インタビューでは,キャラクターデザインを担当するYSK氏と,数々の衝撃展開を操る“「ブラスタ」の生みの親”である塚口綾子氏に話を聞いた。キャラクターデザインや魅力的なビジュアルがどのように制作されてきたのかなど,ここだけのエピソードをたっぷりとお届けしよう。
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[インタビュー]“ブラスタ”は今日で5周年! 「ブラックスター -Theater Starless-」のこだわりや制作秘話,今後の展開を聞いた
![[インタビュー]“ブラスタ”は今日で5周年! 「ブラックスター -Theater Starless-」のこだわりや制作秘話,今後の展開を聞いた](/games/462/G046220/20240827037/TN/011.jpg)
DONUTSがサービス中のスマホアプリ「ブラックスター -Theater Starless-」が,本日でリリース5周年を迎える。これを記念して,ブラスタの制作秘話や今後の展開を聞いたディレクター塚口綾子氏へのインタビューをお届けしよう。
「ブラスタ」“生みの親”塚口氏とYSK氏,
すべては一通のメールから始まった!
4Gamer:
昨年は塚口さんに独占インタビューをさせていただきましたが,今回の6周年ではキャラクターデザインを担当されたYSKさんにインタビューをさせていただけることになりました。まずは,YSKさんが作品に加わった経緯を教えていただけますか。
塚口綾子氏(以下,塚口氏):
「ブラックスター -Theater Starless-」を制作するにあたり,インターネットでイラストレーターさんを探していました。そこで偶然YSKさんの作品を見て,ぜひこの人にお願いしたいと思ったんです。すぐにプロデューサーの安藤にも相談し,ご本人にメールしたのがきっかけですね。
YSK氏:
(「ブラスタ」制作チームとは)まったく面識がなかったので,メールをいただいたとき「何かの間違いでは?」と思って1日ほど寝かせてしまいました(笑)。翌日にもう一度メールを見て正気に戻り,「私で良ければ……」というかたちでお返事をさせていただいたんです。
4Gamer:
かなりスムーズな決定だったのですね! 塚口さんは,YSKさんのイラストのどんなところに惹かれたのでしょうか。
塚口氏:
実は最初に見たYSKさんのイラストはほとんどが人外だったのですが,キャラクター性もあって存在感がすごいなと感じました。当時,プロデューサーに「人外が描けるなら人間も描けるはず!」と言って説得したのを覚えています(笑)。
当時,私は“「ブラスタ」はアイドルものではない”というのを各所に説明するのに苦戦していましたが,あくまでも本作はアンダーグラウンドな世界を描く作品なので,YSKさんには最初から「ワルメンを描いてください」とお願いしていた気がします。
YSK氏:
リンドウをはじめとしたチームPは,比較的キラキラしたメンバーもいるものの,全体としては「キラキラ感をおさえてほしい」「闇落ち感を出したい」といったお話をされていました。
それと,「ブラスタ」は“個性”という部分も大切にされていて,キャラクターのイメージが被らないようにしたいともおっしゃっていました。それで,どうやって区別化しようかなと考えましたね。それまでは普通の人間を描く機会が少なかったので……。
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4Gamer:
数年前は特にアイドル系コンテンツが多く,今ほど多様ではない中で,「ブラスタ」は異色でしたよね。世界観についてお話を聞いたとき,YSKさんはどのように感じましたか。
YSK氏:
もともと,ちょっと狂ったような感じや,怖い感じのキャラクターが好きだったんです。最初に塚口さんから「(YSK氏のイラストは)イカれた感じのキャラクターの顔がとてもいい」とおっしゃっていただき,それなら自分の好きなカラーを思い切り出してしまってもいいのかな? と思いました。
塚口氏:
今思うと,めちゃくちゃ失礼な物言いでしたね(笑)。
4Gamer:
いえいえ,双方の求めるものが合致した出会いだったわけですね。ちなみに,最初にデザインされたキャラクターは誰か覚えていますか。
YSK氏:
各チームのメイン5人(ケイ,黒曜,リンドウ,ミズキ,モクレン)で,最初に着手したのはケイだったと思います。
塚口氏:
YSKさんってすごく手が早いんですよ。それこそ5人分一気に提出していただいて,「すごい,もうきた!」って驚いた記憶があります。
4Gamer:
なるほど。キャラデザを進めていく中で意外な方向に決まったり,設定が変わったりなど,制作時のエピソードがあれば聞かせてください。
塚口氏:
設定は意外と最初から変わっていなくて,小さなところに変更が入ったくらいですね。そういえば,途中で「ギザ歯を入れよう!」と話したりしました(笑)。
YSK氏:
そうでしたね。あと覚えているのは,ケイは髪色が黒だったことです。
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4Gamer:
そうだったんですか! なぜ今のような金髪になったのでしょうか。
YSK氏:
もう少し華が欲しい,といった理由だったと思います。
塚口氏:
あとはケイの名前が,金の純度を表す「18K」「24K」などの「K」から取っているのもあり,金色にしてほしいとお願いしました。
4Gamer:
そうだったんですね! 少し話が逸れますが,せっかくなのでキャラクター名の由来についても教えていただけますか。鉱物や植物から取っている……というのは,多くのファンが知っているとは思いますが。
塚口氏:
鉱物や植物にしたのは,参考にできそうな名前のバリエーションが多く,持たせられる意味もたくさんあるからです。2つのいずれかにしたのは,人によって使いたいものが異なるかなと思ったからです。
ステージネームという概念もあとから登場しました。ほとんどのキャストはつけた名前のとおりですが,分かりにくそうなものだと,シンは鉱物の辰砂(しんしゃ)からきています。でも,クーだけはあまりに分かりにくいので,逆に永遠の謎でもいいかなと思い,今は明かさないことにさせてください……!
4Gamer:
貴重な情報ありがとうございます! YSKさんがキャラデザのご依頼を受けたときは,すでに全員の名前が決まった状態だったのでしょうか。
YSK氏:
はい,由来とともに送っていただきました。
4Gamer:
では,キャラデザはどの程度まで細かくオーダーがあったのでしょうか。
塚口氏:
名前と身長体重,あと「脱いだらすごい」などの体格の指定はしていたと思います。
YSK氏:
このキャラは女性が理想とする細マッチョで,こっちはプロレスラー感のあるがっしりした筋肉で,とか……これは金剛さんのことですが(笑)。あとで変わってもいいので,目安としてお伝えいただいていました。
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塚口氏:
でも毎回,すごくいい感じで汲み取っていただけたので,最初にデザインをいただいてからのNGやリテイクはほとんどなかったです。途中でYSKさんが「本当にOKでいいんですか?」とおっしゃったこともありました。
4Gamer:
では逆に,難航したキャラはいたのでしょうか。
YSK氏:
それこそクーのときですね。最初に「女性のような雰囲気もありつつ,筋肉はしっかりついている」とうかがっていて,どの程度女性らしさを出せばいいんだろう? と悩みました。男くささやキラキラ感を抑えめで……という設定が,いまひとつ想像できなかったんです。
それでクーだけは,「これでどうでしょうか」「こちらはどうですか」と何度かラフをお出ししていました。どこかエスニックで“クレオパトラ感”がありつつ,男性なので筋肉もあり……といった感じで。
塚口氏:
「ハイヒールを履いている」ということだけは決めていました。対になる前提のモクレンはスムーズにデザインが決まったのですが,クーに関しては産みの苦しみがありましたね。
4Gamer:
とはいえ,結果としてすごく個性的で魅力あるキャラになったと思います。ほかに覚えているエピソードはありますか。
塚口氏:
カスミの髪型に難航しました。前髪で顔を隠している感じを,私がうまく説明できなくて……。
YSK氏:
影が薄く無個性な雰囲気を出したいということで,髪色や雰囲気自体はわりとすぐ決まったのですが,髪型だけどうしようか……という感じだったんですよね。
塚口氏:
いずれ前髪は上げるつもりだったので,最初の時点で顔を出したところも作っていただいていたんですよ。展示会などでキャストの多面図を公開していたのですが,そういった理由でカスミだけは何年も出せませんでした。今年の2月にようやくお披露目となり,何年越しだったんだろうと(笑)。
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4Gamer:
全員のキャラデザについて深堀りしたいところなのですが,人数が多いので,ほかに印象的だったキャラについてお聞きしてみたいです。
塚口氏:
私はシンのときが面白かったですね。お願いしておいてなんですが,この怪奇な人をどう描いてくれるんだろうと(笑)。
YSK氏:
話し方が独特で最年長だと聞いていたので,どう雰囲気を出そうか考えました。若々しいエネルギッシュな印象とは異なるので,「目の下にシワを入れよう!」と決めました。
4Gamer:
目元といえばヒースも印象的ですよね。目の下にガッツリとクマが入っているのは,かなりのインパクトでした。
YSK氏:
病弱キャラといえばクマだろうという……。でも実は,シンもうっすらクマがあるんです。ヒースはシンと目元を判別するため,より濃いクマにしました。あまり眠れていないようなキャラのイメージです。
塚口氏:
YSKさんは,描き分けについて「特に目を意識して区別化します!」とおっしゃっていたんですよ。
YSK氏:
そうですね。髪を取ったらみんな同じ顔,みたいなことになるのを避けたくて。目元は一番個性が出しやすいところだと思っているんです。
4Gamer:
確かに「ブラスタ」は,目だけを切り取って並べても,すぐに誰だか分かるところがすごいです。
YSK氏:
そういえば当時,万が一キャラの人気が出なければ首を切ることもあると聞いて驚いたんですよ。なので,みんなが頑張って生き延びられるように……と思いながら,それぞれが個性的で魅力あるキャラになるよう作っていきました。
塚口氏:
どのキャストもファンの方から支持していただけるようになり,私もシーズン1の終わりくらいでようやく安心した感じですね。
あの刺激的なビジュアルはどのように描かれた?
ここだけの制作エピソードとは
4Gamer:
次に,キービジュアルなどのイラストについてお聞かせください。新規撮り下ろしのビジュアルは,どのような流れで制作されるのでしょうか。
塚口氏:
ゲーム制作とコンテンツ制作の2つの部署がありまして,撮り下ろしのビジュアルはコンテンツ側からのオーダーが多いですね。コンセプトやイメージの資料を作り,YSKさんにお渡ししています。
YSK氏:
そうですね。ゲーム側と,ライブなどのイベント系のご依頼で分かれている感じです。
塚口氏:
作る人が違うだけで,資料そのものは似たような感じです。今は,誰が作った資料でも私が確認をし,最終的な資料がYSKさんの元に届きます。私からスタッフへの差し戻しでよくあるのが,「この人は笑顔になっているからNG」といった内容ですかね。
YSK氏:
そうなんですよ,「ブラスタ」はキャラが笑うにしても“嘲笑”やクールな雰囲気が多いんですよね。私が描いたイラストにも,「もう少し口元の笑いを抑えてください」という監修が入ったりします。
塚口氏:
いつか笑った顔を解禁する可能性はありますが,やっぱりこういうコンセプトなので……すみませんすみません,と言いながらチェックしています。
4Gamer:
確かに,満面の笑顔は「ブラスタ」のイメージから少し異なるかもしれません。ちなみに,最初に制作したのはどのイラストでしたか。
塚口氏:
最初のキービジュアルだったと思います。実は,これには「地獄階段」という名前がついているんですよ。チーム内での通称なのですが,制作時に「地獄へ続く階段みたいな感じ」と言っていたのが縮まったように思います。
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4Gamer:
そうなんですね! このイラストにはすごく驚いて,個人的にも印象に残っています。当時はアイドルものやキラキラしたコンテンツが多い中,「この暗くて怖い感じのビジュアルはすごいな……!」と。全員こっちを見ていないし,黒曜やリンドウ,モクレンに至ってはすごく遠くにいますし。キービジュアルとしては異色ですが,作品としてめちゃくちゃかっこいいと思ったんです。
YSK氏:
ありがとうございます。確か「ミズキだけは目をかっぴらいている」という指示があった気がします(笑)。これってキャラたちから歓迎されてるのかな……? という感じのイラストなので,自分でもちょっと不安だったのですが。
塚口氏:
実は,社内でもミズキを笑わせるかどうかで,かなり意見が割れたんですよ。コンセプトから外れてしまうかもしれないけど,最初は「誰か1人くらいは笑わないとね?」みたいな結論になりました(笑)。
YSK氏:
普通のメインビジュアルなら,世界観を表現するために“イメージの風景に登場人物を添える”か,登場人物たちをメインにして「楽しい世界に誘います」といった雰囲気のものが多いですよね。「ブラスタ」はそうではないし,キャラ同士が仲良くしている雰囲気を出さないよう,誰も目が合っていない感じにしました。その結果,アングラ感というか,女性向けとは思えないビジュアルに仕上がったなと。
塚口氏:
顔が見えないし,小さくなっている人がいるのも良しとしたんです。階段を降りて中に入っていく感じにしようと思ったら,そうせざるを得なくて。勇気を持って「ブラスタは“こう”だよ!」と,方向性が決まりました。
確かこのとき,ボイスドラマも同時進行していたんです。さっきの「誰とも目線が合わない」という話につながりますが,彼らは会話のキャッチボールをしないんですよ。音響監督さんが声優のみなさんにそう説明してくれて,イラスト側もボイス側も空気感が整っていった感じでした。
4Gamer:
そこがまたかっこいいですよね。それにしても,このキービジュアルは本当に名作だと思います。
塚口氏:
リリースから5年目くらいまでは,このビジュアルを公式サイトのTOP画像に使っていたんですが,実は1年目でミズキやモクレンのチームが変わってしまって,衣装が違うという状況になってしまって……。そこで新しいキービジュアルを作ることになりました。それが「地獄階段2」です(笑)。
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4Gamer:
集合絵のほか,AGF(アニメイトガールズフェスティバル)などのイベントではキャラ個別のイラストも制作していますよね。
YSK氏:
はい。個別だとポーズが被らないようにしなければいけなくて,何度もラフを描き直したりしています。指定されたポーズだとキャラ同士の雰囲気が似てしまうこともあり,いろいろと試行錯誤しています。
塚口氏:
28人いますからね……それにしては,やっぱりYSKさんは筆が早いと思います。
4Gamer:
では,今までに制作して印象的だったイラストについて教えてください。
YSK氏:
AGF2020の,モノクロでリボンを使ったイラストです。これはゲーム内でイベントがあったわけではなく,完全に撮り下ろしでした。各キャラが自由にリボンで遊んだり縛られていたりするというオーダーで,キャラの性格や設定に合わせて変化をつけています。ちょっと大人向けのイラストになったな,と印象に残っていますね。
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塚口氏:
このときは私が担当ではなかったのですが,グッズ人気も高いイラストでしたね。
4Gamer:
これも本当にインパクトがありましたし,キャラ解釈と合致しているな……! と思いました。一人ひとりのイラストが作品として独立しつつ,全員まとめて見ると圧巻ですよね。では,塚口さんの印象に残っているイラストはどのあたりでしょうか。
塚口氏:
そうですね……まずは「BLACK LIVE IV」です。晶とモクレンがキックをしているのですが,特にモクレンの身体のラインが美しいなと。当時は私がチームに戻ってきたタイミングだったのですが,これを見て「すごいイラストが上がってきてる!」と驚いたんです。
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YSK氏:
モクレンのポーズは,実際の人体だと,蹴り上げていないほうの足がもう少し曲がるはずなんですよ。ただ,そうすると身体が硬い印象を与えてしまうんですよね。そこで「モクレンなら身体の軸をブレさせず,このくらいの蹴りはできるだろう!」と,このようなイラストになりました。
4Gamer:
とても納得できる話です。ほかにも,AGFのイラストはかなり衝撃的なものが多いですよね。
塚口氏:
AGFはスタッフから提案を受ける形なのですが,2021年の“水に濡れたワルメン+果実”も「攻めてるなー!」と思いました。
YSK氏:
「ブラスタ」は,いつもセンシティブなラインぎりぎりを攻めていますよね(笑)。
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塚口氏:
どこまでいくんだろう……という感じですが,そのせいか,去年(2024年)は比較的たくさん服を着ています!
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YSK氏:
これは私とは別の方が衣装デザインを担当していたのですが,すごく細かいところまできっちりデザインが決まっていたんですよ。しかも全員異なるものなので,イラスト制作中の1/4くらいの時間は,ずっと衣装デザインの資料とにらめっこしていました(笑)。
それから,このときは少しラフ寄りのビジュアルに仕上げているので,そこも楽しんでいただけたらと思いながら描きましたね。
塚口氏:
今年のカジノシリーズもいいんですよね。こちらは衣装デザインも含めてYSKさんにお願いしています。
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YSK氏:
最初に「どこかしらに露出はあったほうがいい」という話が出たのですが,個人的にはカジノのディーラーが手首などをチラ見せするのが良いなって思っていたんです。なので服は着込んでいる感じにしようと思ったのですが,それはNGになりました(笑)。
そこで,黒曜さんの腕が網になっていたり,お腹が見えていたりといった調整をしていきました。
塚口氏:
この制作では“肌の露出について”の打ち合わせが行われました(笑)。YSKさんから「網はどうですか?」とご提案していただき,さすがだなと思いましたね。
YSK氏:
例年に比べると少なめですが,みんなどこかしら肌が見えていますので,楽しみにしていてください(笑)。
塚口氏:
AGFの話が続いてしまいましたが,あとは,比較的最近出した「ノーチラス・ブルー」(2025年7月)が印象に残っています。実は,発注自体はかなり前にしていたようなんですが,紆余曲折あって使われていなかったんですよ。
見直してみて「この肌色の多さをゲームで出して大丈夫か?」という話も出たのですが,プロレスラーだって上裸は出しているし! と(笑)。
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4Gamer:
確かに……!
塚口氏:
このイラスト,人体の美しさが出てるなと思って。ポーズも面白いし,タトゥーも印象的だし。なかなか作らない感じのイラストなので,これは28人いたらすごいだろうな……とは今でも思っています。
4Gamer:
お話を聞いていると,「ただ露出すればいい」というのではなく,きちんとこだわりを持って作られているのがよく分かります。
塚口氏:
いろいろと振り返っていて思い出しましたが,4周年のときのイラスト制作もすごかったんですよ。YSKさんに「(キャストに)怪我をさせてください」っていう……。
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YSK氏:
ありましたね!
塚口氏:
私がチームに戻ったのが4.5周年くらいのタイミングだったので,このイラストを見たときに「これ,鼻血出てるけど大丈夫!?」って言った記憶があります(笑)。発注資料にも「鼻血」と書いてあって,「こんな発注あるんだ……!」と私ですら驚きました。
YSK氏:
はい。でも鼻血には鼻血の良さがありますよね(笑)。資料では怪我の度合いにも段階があって,流血沙汰くらいのイメージもありました。ただ,あまりにも痛々しすぎるのはNGで,特にケイは軽症で済んでいます。そういったキャラごとの細かい差も,実はあったりするんですよ。
4Gamer:
血ってレギュレーション的には大丈夫なんですか?
塚口氏:
アプリストアのレギュレーションとしては,「色が赤くなければ」といった感じだと思います。ですので,赤くする場合はかなりの軽症にするようなことが多いですね。
4Gamer:
こうして見ていると,どんなに刺激的なイラストでも「『ブラスタ』らしいな」と感じられますね。YSKさんは,イラストを描く際に意識していることはありますか。
YSK氏:
“色気”を出すことを意識しています。男性キャラクターの色気って,ほかの発注ではあまりないんですよ。特に,角度や目元などに気を配っていますね。
表情を大まかに分けると「笑顔」「真顔」「悲しみ」といった感じになると思うのですが,スターレスのメンバーの場合は見下ろしていたり,流し目をしたりとニッチな方向の指定も多いです。そこを綺麗にかき分けるように努力しています。
4Gamer:
なるほど……! 「ブラスタ」はキャラの性格やストーリーの面白さの魅力も大きいですが,YSKさんのイラストだからこそ,その魅力がより強く伝わってくるように思います。ビジュアルの占める比重もすごく大きいなと。
「ブラスタ」のキャラはなぜ露出する!?
肉体の美しさの表現と,今後のストーリーについて
塚口氏:
私はよく“空気感”という言葉を使うのですが,YSKさんのイラストは空気感がいいんですよね。それもあって,いつも「撮り下ろし」という表現をしています。リアルに写真を撮っているような雰囲気なのは,昔からずっと変わらなくて感謝しています。
4Gamer:
本当にそうですね。YSKさんにもうひとつお聞きしたいのですが,「ブラスタ」で描いてみたいイラストはありますか。
YSK氏:
全員,きっちりと黒いスーツを着込んでみてほしいですね。もちろん,胸元を少しオープンにするとかは全然アリだと思いますが,全員が黒スーツを着て並んだらすごいことになりそうだし,それはちょっと描いてみたいなと思います。
塚口氏:
ご意見としておうかがいしました!(笑)
4Gamer:
普段露出度が高いからこそ,着込んでいるところも見てみたくはあるのですが,やはりどこかは見えているのがこだわりなのでしょうか。
塚口氏:
というより,彼らは「ちゃんとスーツを着られない人たち」じゃないかなと。もちろん,ケイやリンドウなどきちんと着られるキャストもいると思いますが,ミズキってちゃんとスーツ着られるのかな? という。
YSK氏:
1人でネクタイが結べなさそうですよね(笑)。
塚口氏:
毎回,誰かが結んであげているみたいな……。スーツって人によって着こなしがかなり変わると思うので,あまりにも差が出るのを避けたくてためらっているところはありますね。
ただ,お客さまでもそういった衣装をご覧になりたい方がいるのは理解しているので,タイミングがあればいつかやる気がします。
YSK氏:
そういえば今思い出したのですが,最初に私にオファーしてくださったのは,「筋肉がある程度描ける」というのも理由のひとつだとうかがっていました。
塚口氏:
そうだそうだ,そうです,ペラペラな体にしたくなかったんですよ。露出の話にも通じますが,パフォーマンスをする人たちの肉体の美しさを追求できたら面白いなと思ったんです。YSKさんともよく相談しながら,どこまで見せて大丈夫か? を探りながらやっているところはありますね。
4Gamer:
ちなみに,まだいける感じなんでしょうか……?
塚口氏:
衣装デザインによってですね。やっぱり,着込みすぎてないほうが彼らも踊りやすいんじゃないかと思ってます。バレエでも,身体にフィットした衣装だったりしますし,彼らのやっているショー自体が,肉体の美しさを見せるところもあると思うので。
4Gamer:
すごく納得できました。そういった事情や,昨年のインタビューで「グラビアを意識している」とおっしゃっていたような芸術性もあり,絶妙なバランスの作品になっていますよね。
YSK氏:
いやらしさを前面に出さず,鍛え上げた肉体の彫刻のような美しさを目指しています。撮り下ろしというスタンスでお届けしているので,これからも彼らの魅力をお伝えできればと。
4Gamer:
では,そろそろ締めに入りたいと思いますが……。
塚口氏:
すみません,私からYSKさんにお伝えしたいことがあります。以前「シーズン6ではすべての謎が解決します」と説明させていただいていましたが,それが叶わず……。
スターレスのメンバーたちも努力はしたんですが,彼らがシーズン6をとおして学んだのは「情報共有の大切さ」でした。6年かけてやっと報連相を覚えたっていう(笑)。
YSK氏:
いえいえ,大丈夫です!
塚口氏:
シーズン6の最終章では,「ブラスタ」史上一番長い暴力シーンが出てきたんですよ。これまででも一番といっていいくらいのテキスト量を書いたのですが,問題が解決せず……。
でもきっとシーズン7では何かが解決すると思います。おかげさまでまだまだYSKさんとはご一緒させていただきたく,これからもよろしくお願いします!
4Gamer:
これからまた新たな謎が出てきて,それもまた解決するまでといった感じでずっと続けてほしいです。
塚口氏:
あれは謎を出そうと思って出しているわけじゃないんですよ。彼らが勝手にそう言っているだけで……。
YSK氏:
なるほど,生きてますね(笑)。
塚口氏:
そうなんです,謎が解決したとしても,人生は続きますから。
4Gamer:
では最後に,ファンと読者に向けてメッセージをお願いします。
YSK氏:
「ブラスタ」は,アイドルものではなく暴力沙汰もあるような,泥臭い展開やアングラな雰囲気の作品です。キラキラした姿は見られないかもしれないけど,彼らが地を這い,泥をすすってでも生きていく様を見届けてほしいですね。私もカメラマンとして関わっていてとても楽しいので,ぜひこれからもよろしくお願いします!
塚口氏:
今年もいろいろと皆さんにはご迷惑をおかけして申し訳ございません……。昨年のインタビューに引き続き,今年も謝ってばかりで恐縮です。
彼らは服を着たくないわけでも,着たいと思っているわけでもなく,ただ与えられた衣装をちゃんと着て,ショーを楽しくやっているんだと思います。それをお客さまに楽しんでいただければ,彼らも嬉しいのではないかなと。
ひとつ宣伝させていただくと,10月に6枚目のCD,「6thアルバム『BLACKSTARVI』」(リンク)が出ます! YSKさんの撮り下ろしジャケットです。今回は,「各チームの原典と翻案コンセプト」の投票ができるので,興味のある方はぜひご参加ください。
ガチで何に決まるかは分からないので,我々も戦々恐々としていますが(笑),彼らはしっかりと真面目にショーに取り組んでくれると思うので,ぜひそれを楽しみにしていただけたらと思います。
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4Gamer:
本日はありがとうございました!
――2025年8月8日収録
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