プレイレポート
[プレイレポ]「泡沫のユークロニア -trail-」結ばれたあとの物語,描かれなかった恋,真相の続きが待つ切なさ
2025年7月24日にNintendo Switch用ソフトとして発売された「泡沫のユークロニア -trail-」は,女性向けゲームブランド「LicoBiTs」の第1弾タイトル「泡沫のユークロニア」の続編にあたる。「泡沫のユークロニア」で結ばれたふたりのその後を描く「AFTER STORY」,前作では攻略対象でなかった柊,石蕗との恋を描く「IF STORY」,真相エンドのその後を描く「ANOTHER STORY」などが収録されている。
結ばれたからこその幸せと苦難や,本編では描かれなかった新たな恋,新たな展開がたっぷり詰まった続編「泡沫のユークロニア -trail-」のレポートをお届けする。
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※本稿では,「泡沫のユークロニア」の重大なネタバレも含みます。前作をプレイしていない人はご注意ください。
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2024年4月11日にリリース予定の恋愛アドベンチャーゲーム「泡沫のユークロニア」の体験版が,本日配信された。本稿では,体験版で遊べる2章の途中までの物語から,本作の世界観やキャラクターの魅力をお伝えしよう。
【AFTER STORY:矢代】
八方美人が姫様特効になるとこうなる
主人公と結ばれたあと,矢代は故郷でなく凍玻璃を選び,そのまま在留している。露草の居候先の半月堂から独立し,なんでも屋を開業させたらしい。
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屋号は“時知らず屋”。凍玻璃にちなんでつけられた屋号だが,この屋号はすんなりと決まったものではないようだ。というのも,なんと矢代,主人公の名前を屋号にしようとしていたのである。
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なんとかして愛しの姫様にちなんだ名前にしたい,というか,匂わせたい矢代と,それはやめておけという周囲。矢代は凍玻璃の出身でないからか,主人公との関係を隠すという意識があまりないようだ。
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主人公もそこには危機感を覚えていた。凍玻璃は貴族,平民の格差がハッキリとしており,貴族と平民が想い合うことはおろか,そういった想像をするだけでも大罪だといわれる場所である。
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主人公の悩みは,矢代の外での振る舞いとは別で,もうひとつあった。それは“時知らず屋”が繁盛していること,矢代がみんなから好かれて人気があること。喜ばしいことなのに喜べない。要するに,ヤキモチである。
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任務から離れたためか,主人公という愛する人ができたためか,矢代は以前に比べて八方美人ではなくなったという。この,姫様以外の他人に対してちょっと塩対応になったというのが,彼の愛情を表しているようでいいな,と感じた部分だ。
そんな対応でも仕事はきっちりこなすし,たいていは断らないで引き受けてくれる矢代は,住人たちから引っ張りだこ。
主人公との視察と称したデートでも,行く先々で声をかけられていた。そんな矢代の姿を見た主人公は,理不尽だと分かっていながらも,矢代へ不満を口にしてしまう。
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しかし,さすがは矢代。神対応で姫様の機嫌をきっちり回復させた。
貴族社会のタブーに触れ,公にできない関係ながらも,初々しい恋心を育んでいたふたりだが,まだ解決していない問題も残っている。矢代の故郷,銀湾の問題だ。
銀湾の間者は始末されたり,凍玻璃に寝返ったりして,ほぼ壊滅状態に追いやられたが,そこで諦める銀湾ではない。“時知らず屋”の開業から数か月経ったある日,再び銀湾の間者が矢代と主人公に接触してきた。ほとんど暗殺を狙うような形で,だ。
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銀湾との関係にどうケリをつけるのか,貴族と平民,しかも銀湾の人間であった矢代との関係はどうなるのか,というのが矢代ルートのテーマである。
【AFTER STORY:帷】
乗り越えるべき壁が多くても手を取り合うふたり
帷と主人公のその後,と聞いて,思い浮かぶのは身分の格差と帷の病についてだろう。AFTER STORYの冒頭も,街中で帷が倒れたと聞いて駆けつける主人公のシーンから始まる。
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近くの半月堂に担ぎ込まれた帷。体の汗を拭うのを手伝う主人公。病状がどのくらい進行しているのか,本当に大丈夫なのか,決定的なことには触れずに時間を過ごすふたりの空気が切なすぎて,冒頭から泣けてきた。
このシーン,主人公の心情がまた刺さるのだ。
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手拭いの絞り方も,他人の汗の拭き方も,すべて帷を好きになってから覚えたこと。この語りに帷への深い愛情がこもっている気がして,クラッときてしまった。
帷も帷で,隙あらば主人公へ愛情表現をしている。こつこつ煮込んだ愛情がじんわりにじみ出ているとでも言おうか。とにかく優しくて,包容力がすごい。
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だが,ふたりがずっと一緒にいるためには,病の問題だけでなく,身分差の問題もある。
帷の妹であるすず音は,兄と主人公が公的にも結ばれることを望んでいるが,今の凍玻璃ではどだい無理な話だ。そもそも,こうして平民が「貴族の誰かと結ばれる」と想像をする,ということですら,罪に問われる可能性があるという。
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帷が道中で苦しそうに咳き込んだときも,介抱しようとした主人公は帷に「触るな」と制されていた。平民が貴族に触れている,という状況を見られるのは,たとえ介抱のためだったとしても良くない視線を向けられる。凍玻璃は,そういうところだ。
現状では不治の病を抱えた帷,いつか政略結婚をしなければならない主人公。これだけでふたりの将来は茨の道だが,そんなふたりに柊から大きな仕事を任される。
泉下で牢舎の管理をしている“道反(ちがえし)の一族”との交渉の席につくことだ。
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道反の一族は初代大樹の血も引いているという特殊な立ち位置であり,その役割は泉下で牢舎の管理。彼らはほかの貴族たちと同じように,凍玻璃に屋敷を持って牢舎の管理は平民に任せたい,と申し出てきた。
帷は花街の顔役として,主人公は凍玻璃の数字つき貴族として,大樹の名代という役割を引き受ける。己の責務と向き合いつつふたりで生きていく道を模索する,というのが帷ルートのストーリーだ。
【AFTER STORY:淡雪】
何でも知っていると思っていた人の,知らない一面
主人と従者という関係に,恋人という関係も加わったふたり。普段と変わらない日常を送りながらも,確実に“恋愛”という甘さが加わっていた。
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淡雪といえば,料理にまつわる話を思い出すプレイヤーも多いだろう。元来,彼は料理が苦手な部類ではあるが,主人公のためにかなりの努力を重ねておいしい食事を作っている。
AFTER STORYでも,料理の描写がたびたび見られた。主人公が献立を紹介してくれるのだが,もう,文字列を見ているだけでおいしそうなのだ。
![]() もはや飯テロの域である |
![]() 毎回きちんとお礼を言える主人公がステキ |
献立を見るだけで,主人公の好みと健康を考え抜き,丁寧に作られた料理だと分かる。そして,毎回淡雪に「今日もおいしかった,ありがとう」と言える主人公がステキだなぁ,としみじみ感じた。はたして自分はお母さんに「ご飯作ってくれてありがとう!」なんて言ったことはあるだろうか。まぁ,淡雪はお母さんではないのだが。
ここで,周囲に恋人だという関係を隠しながら送ってきた日常に,小さな波風が立ち始める。
ひとつは,淡雪が知らない女性と親しげに話している場面を主人公が見てしまったこと。
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昔から一緒にいて,お互いのことは何でも知っていると思っていた相手の知らない顔を見たら,誰でも少しは動揺する。もし恋人という関係になる前なら,「淡雪にも屋敷以外で交遊関係くらいあるわよね」と,主人公もそこまで気にとめることもなかっただろう。
だが,主人公至上主義ぎみの恋人が知らない女性,しかも美人と親しげに話しているともなれば,主人公の動揺は計り知れない。主人公はそれとなく女性について淡雪に尋ねてみるが,淡雪にはぐらかされてしまったために,余計にモヤモヤが募ってしまう。
ふたつめの波風は,淡雪との関係が許されないものだと,あらためて現実を突きつけられたこと。
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いくら急な雨だからといって,本来なら主人と使用人が同じ傘に入るなど,許されないこと。その場面を見た人々から,噂が広がっていると,同じ貴族である葵から指摘された。
もし交際が世間に露呈してしまえば,淡雪と離れなければならないことはもちろん,彼は大罪人として泉下送りになってしまう。淡雪を守るため,主人公は淡雪との距離感を考え直さなければならなかった。そして,ふたりの将来についても考える必要があった。
さらには,凍玻璃で“幽霊”の目撃情報が相次いだことで,主人公にとある依頼が舞い込み,そちらの対応もしなければならなくなる。
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幽霊とは,オカルト的な意味合いではなく,泉下送りになったはずの人間のことを指す。罪を犯して地下へ追いやられた凍玻璃にいるはずない人,という意味合いだ。
その幽霊が出没している問題と,泉下の牢舎を管理している道反の一族との交渉について,主人公は柊から相談される。
淡雪との関係と,貴族としての責務。多くの悩みの種と向き合い,主人公は淡雪と幸せに暮らしていく方法について模索する。
【AFTER STORY:依】
思想の違いを認め合うのは,近しい間柄でも難しい
さまざまな問題(主に依の)を乗り越え,婚約を継続したまま過ごすふたり。依のひねくれすぎてねじ切られたような性格は,相も変わらずのようだ。
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依は東五の屋敷に身を寄せており,事件のこともあって,保護観察のような状態が続いている。依の扱い方がだんだんと分かってきた主人公だったが,その従者である淡雪は依の存在に手を焼いているようだ。
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やれ茶が不味いだの,掃除の仕方が気に入らないだの,依は毎日のように淡雪へ文句をたれる。こういう関係性を,よくこちらの世界でも聞くことがあったような。あれだ,嫁姑問題だ。実際は婿と主人の従者という関係だが。
主人公はたびたび仲裁に入っていたが,ふたりの小競り合いを「微笑ましい」と評していた。姫様も大概である。依ルートの主人公は,とにかくメンタルが強い。
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依には常に監視がついているという状態だが,婚約者として,少しずつ関係を深めていくふたり。
考えてみれば,前作「泡沫のユークロニア」の攻略対象キャラクターのうち,ほとんど唯一,“身分差”という問題が生じないのが依である。
加えて,依が婿入りという形なので,主人公は領地の運営を続けていける。依の性格がマシなら,あるいは彼が罪人でなければ,かなり理想的な相手だっただろう。
身分差という問題はない。しかし,ふたりには“思想の違い”という,ある意味で身分差よりも大きな問題を抱えていた。
依は“貴族至上主義”で,主人公は“命に貴賤はない”という考え方だ。
平民であれば,尊ばれるべき貴族である自分はその存在すら軽く扱ってかまわない。平民である従者を大切にしている主人公にとって,依の考えは受け入れられないものだ。依にとっての主人公の思想も,そうである。
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人間関係において,価値観というものは非常に重要だ。政略結婚を目的とした婚姻ではあるが,好き合っているふたり。依のことを好きだという気持ちは変わらないが,主人公はこの価値観の違いに悩まされてもいた。
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それに加え,銀湾が再び怪しい活動を見せているとのことで,依の勤務先である黒鶴で仕事が増えた。思想の違いで心の壁を感じる中,物理的にも一緒に過ごせる時間が減り,すれ違うふたり。
彼らのなかで,考え方の違いには,いったいどう折り合いをつけていくのだろうか。
【AFTER STORY:露草】
愛情表現を爆発させつつ,己の出自や将来と向き合う
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いきなり露草のどアップが映し出されて困惑している人もいるだろうが,露草のAFTER STORYはこの画面から始まる。
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どうやら半月堂で映画を見ているうちに,寝落ちしてしまったらしいふたり。露草の腕枕から起床した主人公は,慌てて屋敷へ帰っていった。
ただ寝落ちしてしまっただけ。やましいことは何もなかった。だとしても,あの従者が朝帰りなんて許すのか?
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やはりお怒りだった。
しかし,普通は男の家から朝帰りなんてすれば,やましいことを疑われるのも当然だと思うが,なんだかんだ露草は淡雪からその点について信頼されているのだろう。主人公は,淡雪から厳重注意を受けるだけにとどまった。
先ほどの寝起きの様子から察した人も多いだろう。主人公と気持ちを通い合わせてから,露草の暴走気味ともいえる愛はどんどん深まっている様子だ。具体的にはこんな感じ。
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甘い。以前よりマシマシでとにかく甘い。
もう脳内お花畑なんじゃないかと思われても仕方ないくらいだが,一方で,露草は今後の身の振り方について真剣に考えてもいた。
半月堂の仕事を今までどおりにこなしながら,断絶していた柊との交流も再開。政務の一部も担当し,禁域には頻繁に出入りするようになった。
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生まれのしがらみ,柊の手助けをしたいという気持ち,半月堂の仕事,そして主人公の存在。人生において大きな岐路のうちのひとつに立った露草は,選択と決断を迫られる。
一方で,凍玻璃各地では“事故”が頻発していた。カラクリの故障や崩落などが,以前にも増して起きているとのこと。
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経年劣化ではなく,もしかすると人為的に起きた事故ではないか,という声も上がっているらしい。
半月堂の主として,近辺のカラクリ修理に勤しむ露草。だが,露草にはもうひとつ重要な仕事もある。凍玻璃を空へ浮かばせている最重要機関,動力部の解明だ。
多忙を極める露草と,東五の当主として領地の管理に勤しむ主人公。恋人という関係になったふたりは,忙しい合間を縫って,さらなる愛情を育んでいく。
【IF STORY:柊】
大樹としての顔と,柊としての顔
本作から追加された柊とのルート。前作「泡沫のユークロニア」の依ルートから分岐するような形で,物語は進んでいく。
主人公は当初,柊が“大樹”であることに気づかず,露草の知り合いとして彼と関わることになる。
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もともと,主人公と柊は考え方や思想が似ている部分があった。
貴族と平民の厳しすぎる格差,泉下送りになった罪人と家族・子孫への処遇など,今まで凍玻璃で当たり前とされてきたことに対する疑問。それらを解決したいという意思。
露草の共通の友人として会ううちに,ふたりはあっという間に打ち解けた。
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主人公が普段そうしているように,凍玻璃を自分の目で見てまわる柊。
ある日,ひょんなことから凍玻璃だけにとどまらず,主人公と柊は泉下へも足を踏み入れた。その際,湖に誤って落ちてしまったことで,主人公は忘れていた幼いころの記憶を思い出す。
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そこで主人公は,柊が大樹であることを報され,自分が昔,禁域に出入りして露草と柊に出会っていたことも明かされた。
柊は大樹で,凍玻璃の神ともいえる最高権力者。このまま友人という関係を続けてもいいのか,こんな気安い態度を取っていいのか,と悩む主人公だが,「柊と友達になりたい」という強い思いに変わりはなかった。
身分や立場にとらわれず,ひとりの人間として目の前の人と接すことができる。それが,主人公の好ましい点だ。
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一方で,柊が抱えた主人公への感情は,もうほとんど恋愛的な意味での好意だったが,それを自覚できずにいた。大樹という自分の立場を考えた結果と,露草へのある種の遠慮からである。
露草が主人公のことを大切に思っていると柊は知っていたため,自分の気持ちを無意識的に封じたのではなかろうか。
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今までのルートでもたびたび問題に上がってきた身分差だが,それとは逆の立場で,主人公は悩むようになる。何せ,相手は最高権力者である大樹だ。
凍玻璃で同じ価値観を持つ数少ない友人,という関係を続けながら,ふたりはどのように関係を進めていくのだろうか。
【IF STORY:石蕗】
自虐的な謙遜の裏に潜む本音
本作から追加された石蕗とのルート。前作「泡沫のユークロニア」の依ルートから分岐するような形で,物語が進んでいく。
つまり,主人公は依と婚約という契約を結んでいる最中の時間軸だ。主人公から見れば,石蕗は婚約者の兄で,石蕗から見れば弟の婚約者である。もうすでにハードルが高い。
石蕗としては,大事な弟と婚約してくれた女性,という立ち位置で,好意的な扱いを受けていた。
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だが,そうした“好意”を周囲が誤解した結果,巷では「西二と婚約した東五の当主」という噂が,いつのまにか「西二の嫡子(石蕗)と婚約した東五の当主」というものに変わってしまっていた。
そのことで苛立つ依と,焚きつける枸橘。
依は婿入りするので東五の当主を継続できるが,石蕗と結婚ともなれば,主人公は西二の家に入らなければならない。だから石蕗との関係は噂とは違う,と否定する主人公に,枸橘は「それってワガママだよね」と一蹴。貴族社会って生きづらい,と感じずにはいられない展開である。
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どんどん依との関係は悪化し,それと同時に,石蕗へ強く惹かれていく主人公。
石蕗と主人公は,とある事件の調査をともに行うようになったが,主人公は石蕗の言動に引っかかる部分があった。
主人公にとって,石蕗は“理想の貴族”の姿そのものだ。他者を,たとえ平民でも無下に扱うことはしない。貴族の権力を振りかざすこともしない。つねに己を律して,職務にも真摯に打ち込む。周囲からも完璧と評される彼だが,謙遜がすぎるきらいがあった。それはもう,自虐的なほどに。
石蕗が謙遜するたびに,主人公は彼を褒めたが,ただの一度も「西二の嫡子という高貴な立場なのに」とは言わなかった。石蕗自身の人間性がいかに素晴らしいか,どういう努力を重ねてきたか,そういうことしか言わなかった。個人的に,主人公を人間として好きになった部分である。
いろいろな意味で“禁断の関係”となるふたりの恋は,どのような結末を迎えるのだろうか。
【ANOTHER STORY】
大団円で大満足な真相ルートのその先
本作に収録されたANOTHER STORYは,「泡沫のユークロニア」真相エンドのその先を描いた物語だ。凍玻璃のエネルギー問題,鳴神の存在,銀湾との関係。それらの問題に言及された内容となっている。
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物語の大筋としては,銀湾に使節団が派遣されたり,緋緋色金の謎について迫るストーリーなのだが,個人的な意見を言わせてもらうとするなら,登場キャラクターのみんなが同軸で存在して,同じ目標に向かって動いているのを見るだけで,胸にくるものがある。
あるルートでは死んでしまうキャラクターもいるし,あるルートでは泉下送りになった誰かさんもいるし,あるルートでは敵対してそのまま行方知れず,ということもあった。
それがどうだろう。ANOTHER STORYでは手を取り合って存在しているではないか。これ以上に嬉しいことはない。
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「泡沫のユークロニア」のすべてのルートをとおってきたファンに捧ぐ,ご褒美のような内容だった。AFTER STORY,IF STORYとともに,このお話も楽しんでもらいたい。
恋人関係という甘さと,
ままならない問題に対する切なさが同居
AFTER STORYでは恋人となったキャラクターの新しい一面が見られ,IF STORYでは前作で描かれなかったキャラクターとの恋模様が堪能でき,ANOTHER STORYでは大団円が見られる。
甘いだけでなく切なさも感じさせるのが,「泡沫のユークロニア」らしい。
また,本作にはAFTER STORY,IF STORY,ANOTHER STORYのほかに,オマケ要素としてサブキャラクター視点の短編「TRACE BOX」や,主要キャラクターたちの「Q&A」なども収録されている。
オマケといって侮るなかれ。キャラクターへの解像度や,「泡沫のユークロニア」の世界がより鮮明に感じられる内容となっている。本編をクリアすると開放されるので,こちらもぜひ楽しみにしていただきたい。
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「泡沫のユークロニア -trail-」公式サイト
©BROCCOLI ©TIS Creation