
プレイレポート
[プレイレポ]学園RPG「ヴァレット/VARLET」は,戦略性に富んだタイムラインコマンドバトルが楽しい。完璧に決まった時の爽快感も最高だ
開発は,「モナーク/Monark」を手掛けたTeam Noir(チームノワール)で,シナリオは三雲岳斗氏と伊藤龍太郎氏,シナリオ監修を鈴木一也氏,BGMを増子津可燦氏が担当している。
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「自分が何者なのか。」,その問いに苦悩するキャラクターたちとの学園生活や,暴走する承認欲求に立ち向かう物語が展開されていく本作。人の二面性や醜い部分が描かれる,フリューらしいストーリーが見どころだ。
今回,本作の序盤(最初に戦うボスまで)をプレイする機会を得たので,ゲームシステムやストーリー展開などの詳しい内容を紹介していこう。
「ヴァレット/VARLET」公式サイト
性格がストーリーにも影響? 人の欲望やエゴが渦巻く物語
物語の舞台になるのは,MR技術が発達した複合現実特区のモデル校である輝星(こうせい)学園だ。
この学園に転入してきた主人公は,怪物が棲む異界「グリッチ」が存在することと,多くの人間が怪物と入れ替わっていることに気付いてしまう。そして「グリッチ」により少しずつ日常が侵食され崩壊が進む学園を救うため,仲間ととも活動していく。
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プレイの流れとしては,まず自身を溺愛してくる全肯定お姉ちゃん(従姉)の「桃生優里」に頼まれて,便利屋的な活動をしている「SSS(生活相談室)」を運営することに。生徒たちの悩みを解決する中,「グリッチ」に関わるトラブルに遭遇するといった形だ。
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物語の序盤では,メインキャラクターのひとり「有坂或花」が「グリッチ」に取り込まれたことをキッカケに,彼女が所属するアイドルグループに起こった事件を追いかけることになる。
本作は承認欲求がひとつのテーマとなっているようで,グループのセンターを巡る薄暗い疑惑や,承認欲求を満たすための暴走などが描かれていた。キャラクターの苦悩や内面の描写などはフリューらしさがあり,テーマは違えど同社の「Caligula -カリギュラ-」に近いテイストを感じる。
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また,プレイ開始時には性格診断で主人公の性格にある程度個性が付くようになっており,これによって会話の選択肢が増えることがあった。これはトライアドパラメータというシステムで,光の性質(モラル,シンパシー,オルトルイズム),闇の性質(マキャベリズム,サイコパシー,ナルシシズム)の6つに分類されている。
どの程度ストーリーに影響を及ぼすかは不明だが,パラメータ次第では中々にクセの強い発言もできるので,この性格が与える影響も気になるところだ。
![]() 13の質問に答えることで性格が決定 |
![]() 特定のトライアドパラメータが高いと,会話の選択肢が追加される |
ちなみにこの性格は最初に決めると固定されるわけではなく,プレイ中の選択肢によって変化していく。たとえば落ちている財布を拾った際,中を見るか,見ないかといった行動次第で性格にも影響が出てくる。
トライアドパラメータ次第でバトルのパッシブスキルが強化されるなどバトル面での影響もあるので,狙ってパラメータを調整すれば尖った性能にもできそうだ。
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注目したいのは,仲間たちとの交流でも様々な分岐が楽しめそうな作りになっていること。本作のプレイサイクルとして,ストーリー進行の合間にSSS(生活相談室)活動と,放課後に仲間と交流する要素が入る。
ここでの交流は,任意のプレイアブルキャラクターひとりを選択し,仲を深められるというもの。キャラクター個別のストーリーに発展して,より深く内面を知り,仲良くなれるという仕組みだ。
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今回プレイした範囲では確認できなかったが,複数のキャラクターと仲良くなると修羅場のような場面が発生することもあるらしい。1周ですべてのストーリーを回収できるかは不明だが,選択肢次第で様々な展開が起こるのであれば,周回する楽しみも増えそうだ。
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仲間との交流以外に,放課後にはSSS活動として落とし物探しなど生徒の悩み相談・手伝いをするパートも存在する。
こちらは活動自体をスキップすることもできるが,参加すると生徒の情報を収集できたり,資金を稼げたりする。SSS活動中にトライアドパラメータも変化するので,ストーリーをいち早く読みたい気持ちを抑えてやっておきたい要素だ。
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![]() 精力的に活動すると「いいね」が沢山もらえて,そのぶん多くの資金が稼げる |
SSS活動は学園内を自由に動き回れるパートなので,多くの人間が怪物と入れ替わるストーリーとの繋がりも期待したいところ。序盤は不穏な空気は感じなかったが,果たして最後まで生徒たちは無事でいられるのだろうか……。
メインストーリーには関係がなさそうな生徒情報が大量に用意されていたりと,世界観や設定も作り込まれているため,中盤以降のストーリー展開にも期待が高まる。
![]() 全部で107名分の性格などが読み解けるデータがゲーム内で閲覧可能 |
毎ターンの最適解を模索するタイムラインバトル
本作の戦闘システムは,敵と味方の行動順が入り混じったタイムライン形式のコマンドバトルだ。操作自体はシンプルだが考えることが多く,多彩な戦法が使えそうな仕組みになっている。
![]() 画面左のタイムラインで行動順を確認できる |
バトルの特徴として,タイムラインの調整や,味方・敵との行動合わせが重要になってくるように感じた。敵の行動阻害,特定条件での弱体化など適切なタイミングで使うスキルが多く,毎ターン最適解を考えてコマンドを選ぶことになる。
最適な行動を取るとほぼ完封に近い形で綺麗に倒せるのだが,逆にスキルのかみ合わせが悪いと中々敵を倒せず,道中の敵相手でも苦戦を強いられる手応えのあるシステムだ。
どれだけ敵に行動をさせず,自分たちが優先的に動けるか。タイムラインをコントロールすることが勝敗に関わってくるため,戦う敵に応じて戦略が変わってくるのがコマンドバトルのマンネリ化を防いでくれる。
![]() 慣れると道中の雑魚敵はノーダメージでサクッと倒せる |
数々のスキル効果の中でも重要かつ便利なのが,主人公が最初から使えるチャージブレイク。これは敵がスキルをチャージしている最中に当てると,スキル発動を阻止できるうえ,タイムラインも大幅に下げられる。戦闘にはほぼ必須のスキル効果だ。
序盤だと主人公が敵の行動を阻止,その後に仲間キャラクターで追い打ちをかける戦術が非常に強力だった。逆にチャージブレイクがうまく機能しないと数ターンかけても敵を倒せなかったりと,1ターンの行動ひとつが与える影響が大きいゲーム性になっている。
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味方と行動順を合わせるとリンクステップという連携も発動し,敵が怯むスタンゲージを大幅に削れる仕組みも大きなポイントだ。
ボス戦ではスタンゲージをどれだけ早く削れるかが重要になるため,リンクステップを狙うためにあえてスキルを使わずタイムラインを調整するといった駆け引きも発生する。
高火力なスキルを叩き込むか,味方との連携を優先するか。悩ましい場面だがいちばん楽しい部分でもあるため,すぐに倒せない強敵との戦闘ほど本作のバトルシステムは面白くなっていく。
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リンクステップなどを活用して敵がスタンしたら,特定のスキルでバインドを付与することで,バトルが盛り上がる要素であるモーメンタリータイムに突入。モーメンタリータイム中は敵は一切行動できず,こちらが数ターンの間一方的にボコボコにできる気持ちのいい展開になる。
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コマンドも通常とは異なり,アタック,バインド,コンボ,ブーストの4種類から選択する形式になる。敵に与えるダメージ倍率を上昇させたり,フィニッシュダメージを上昇させたりするコマンドを自由に選択して,より多くのダメージを稼ぐのが目標だ。
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モーメンタリータイム終了時にはフィニッシュ演出とスコアも表示されるのだが,この演出が爽快感抜群!
戦闘のテンポを崩さない程度にクールなカットインが入るので,うまく決まると達成感もひとしおだ。ボス戦では挿入歌も流れているため,モーメンタリータイムでフィニッシュを飾れると最高の気分で戦闘を終えられる。
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今回プレイした範囲では登場しなかったが,主人公のバトルスタイルの変更など戦闘システムにはまだ奥行きがあるようだ。
戦闘で重要になるタイムラインの調整も使用するキャラクターによって変わってきそうなので,仲間が増えるほど様々な戦略が使えるようになるだろう。
序盤に仲間になるキャラクターだけでも戦略性は感じられたが,プレイアブルキャラクターは主人公を含めて7人はいるようなので,中盤以降はより攻略の幅が広がることが期待できる。
ストーリーもフリューらしさを感じる世界観の広がりかたで,先の展開が気になる要素が散りばめられていた。フリューのタイトルが好きな人は今作も楽しめるはずなので,ぜひとも実際にプレイしてみてほしい。
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- ライター:F5/タワラ02

(C)FURYU Corporation.
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