連載
崩壊した世界で荷物を運べ。倉庫番ライクなパズルゲーム「Puzzle Depot」(ほぼ日 インディーPick Up!)
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しかし目覚めたのは予定の24時間後ではなく,7年が過ぎた荒廃の世界だった。
巨大な虫が這い回り,有毒な泥が床を覆う。それでも施設のアナウンスは無慈悲に告げる。「業務に戻れ」と。
生き残るため,男は再び箱を押す。
本日は,Laughing Manatee Gamesが手掛ける「Puzzle Depot」を紹介しよう。本作はポストアポカリプスの物流施設を舞台にしたパズルアドベンチャーゲームだ。プレイヤーは倉庫係のトッドとなり,崩壊した施設からの脱出を目指す。
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このゲームの特徴は,「倉庫番」のルールをベースにしながら,広大なマップを探索するアドベンチャー要素を主軸にしている点にある。基本はシンプルで,マス目で区切られた床の上で,邪魔な箱や荷物を押して道を作るだけ。
ただし,ここはただの倉庫ではない。襲い来る巨大なゴキブリや,鉄を食うダニが徘徊している。
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面白いのは,これらの敵や障害物が単なる邪魔者ではなく,パズルを解くための道具にもなることだ。敵を誘導してスイッチを踏ませたり,爆発する樽を蹴飛ばして壁を壊したりする。
さらに,バールやランタン,ガスマスクといった装備を手に入れることで行動範囲が広がる。毒の沼を越え,暗闇を照らし,行けなかった場所へ戻って新たな道を探す。ただ箱を動かすだけではない,道具と知恵を総動員した生存戦略が試される。
道具で変わる解法
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バール1本で状況は一変する。木箱を壊して近道を作れるが,足場を失う危険もある。ガスマスクがあれば毒の床も歩けるが,脱ぐタイミングを間違えれば即死だ。手に入れた道具をいつ,どこで使うか。その判断ひとつひとつが,新たな攻略法の発見につながるわけだ。
ひとつの巨大な迷路
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ステージクリア型のように見えて,実はすべての部屋がつながっている。ある部屋でスイッチを押せば,遠く離れた別の部屋の扉が開くといった感じだ。新しい装備を手に入れてから前のエリアに戻ると,見落としていた隠し部屋が見つかることもある。施設全体が1つの巨大なパズルとして立ちはだかるのだ。
正解は1つじゃない
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とにかく生きて出口へ向かうのもいいし,敵を全滅させる荒っぽいやり方もある。あるいは,一切の無駄を削ぎ落とした最短手数でのクリアを目指すのも自由だ。プレイスタイルによって評価が変わるため,同じ部屋でも全く異なる攻略ルートが見えてくる。
10年もの歳月を費やして磨かれた本作は,パズルゲームの王道である箱押しを,道具と知恵で死地を切り抜けるサバイバルへと変えている。知恵の輪を解くような達成感だけでなく,自分の足で地図を広げていく探索の喜びを求める人には,深く刺さる一作だ。終わらない残業の果てに何が待っているのか,ぜひその目で確かめてほしい。
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