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印刷2025/09/01 12:00

業界動向

Access Accepted第837回:gamescom 2025つれづれ。ラテンアメリカから東南アジアまで,広がる見本市の国際化

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 現地時間2025年8月20日から24日まで,世界最大級のゲームイベント「gamescom 2025」がドイツ・ケルンで開催された。今年も数々の取材を行ったが,Opening Night Liveでは日本をはじめとするアジアのゲームにスポットライトが当たっており,中でもタイはイベントの国家パートナーとして東南アジアのハブとなるべく注目されている。


アジア系のゲームが目立ったOpening Night Live


夏の恒例イベント,gamescom 2025。今年はネタも多く,取材側としても満足のイベントだった
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 今年もまた,世界最大級のゲームイベント「gamescom 2025」がドイツのケルンメッセで開催された。128か国から35万7000人が参加し,そのうちビジネス関係者は40か国,3万4000人に達している。開幕の前日に実施されたOpening Night Liveの視聴者数は,昨年比80%増となる7200万人にも及んだという。

 もはや当連載の読者に説明する必要もないだろうが,gamescomは東京ゲームショウと同じく,ビジネス関係者だけでなく一般客も受け入れるB2B/B2Cのハイブリッド型イベントだ。Bundesverband Interaktive Unterhaltungssoftware(BIU/ドイツゲーム産業協会)と,トレードセンターの名称であり運営会社でもある半官半民企業のKoelnmesseが主催し,2009年の初開催以来,ゲーム業界にはなくてはならないイベントに成長している。

 ゲームパブリッシャがメディアやトレードパートナーに新作を紹介したり,年末にリリースされる新作をエキスポエリアで公開したり,さらにeスポーツ大会や物販なども行われる。
 今年はインディーゲームのエリアをさらに拡張した印象だ。1階と2階を合わせると東京ドームの建築面積とほぼ同じ,4万4830平方メートルになる第10ホールは,ビーチバレーやサバイバルゲームといった余興スペースが減り,7〜8割がゲームのブースやスタンドで埋まっていた。

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 今年は40か国が参加したという国家パビリオンだが,そのいくつかはビジネスエリアではなく,インディーゲームの第10ホールに出展していた。特にスイスはビジネスと一般の双方に,スペインや日本のパビリオンは一般参加者をメインターゲットにした第10ホールのみの展示だった。

 おそらくビジネス関係者同士のつながりではなく,パブリッシャがすでに決まっている,またはセルフパブリッシングを予定しているメーカーを対象に渡独の募集をかけたと思われる。確かに,3万4000人の業界関係者しか入れないビジネスエリアより,35万7000人の誰もが訪れる機会のあるエキスポエリアのほうが,タイトルをより多くの人に知ってもらえることは間違いない。

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 ちなみに,Koelnmesseが発行したプレスリリースによると,今年はアメリカ,中国,そして日本からの参加者の前年比伸び率が顕著だったようだ。Opening Night Liveでもこれらの地域のゲームが目立ち,gamescom award 2025では「バイオハザード レクイエム」が4冠を果たしたカプコン,「カービィのエアライダー」をプレイアブル出展していた任天堂なども存在感を見せていた。

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 ドイツ開催中のイベント「gamescom 2025」で,恒例の「gamescom award 2025」が発表された。注目は「バイオハザード レクイエム」で,「Best Visuals」や「Best Audio」など4冠を達成し,カプコンは「Best Lineup」を受賞。「ドンキーコング バナンザ」が「Best Gameplay」に輝くなどしたという。

[2025/08/23 18:02]

 中国のGame Scienceによる「黒神話:鍾馗」,韓国のNCSOFTがアナウンスした「CINDER CITY」などを含め,Opening Night Liveはアジアに牽引されていた構図も浮かび上がる。こうした大手パブリッシャや開発チームも,ドイツを新しい発表の場と見なしているということだろう。

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gamescom asiaのバンコク開催

東南アジアにおけるハブに


 今年のgamescom,国家パートナーはタイだった。近年,gamescomはイベントフォーマットを販売することで世界的に拡大しており,2020年からシンガポール政府観光局との提携により,gamescom asiaを開催している。4万人もの参加者を集めていたが,人口やイベントスペースの限界などの理由もあり,今年は「gamescom asia x Thailand Game Show」と名称に変えて,10月16日から10月19日までタイ・バンコクのクイーン・シリキット国際会議場で新たなスタートを切る予定だ。

今年10月にスタートする「gamescom asia x Thailand Game Show」。カプコンの参加がアナウンスされており,ビッグイベントになる雰囲気がある
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タイのゲームショウとgamescomのアジア版が合併。「gamescom asia x Thailand Game Show」,10月16日から3日間タイ・バンコクで開催

タイのゲームショウとgamescomのアジア版が合併。「gamescom asia x Thailand Game Show」,10月16日から3日間タイ・バンコクで開催

 欧州最大のゲームイベント「gamescom」を主催するKoelnmesseは2025年2月20日,新たなゲームイベント「gamescom asia x Thailand Game Show」を10月16日から10月19日までタイ・バンコクで開催すると発表した。タイの政府機関から戦略的な支援を受けている。

[2025/02/21 12:22]

 2023年にはブラジルがパートナーとなり,2024年からサンパウロでgamescom latamが行われている。今年は4月30日から5月4日まで開催されたが,筆者も招待を受けて参加してきた(関連記事)。gamescomは今,世界のゲーム新興地域で高いプレゼンスを見せつつある。

 タイのゲームシーンといってもピンと来ないかもしれないが,GameCrafterTeamによるスピーディなメカアクション「Project Nimbus」,YGGDRAZIL GROUPのホラーゲーム「Home Sweet Home」などがリリースされたあたりから,徐々に存在感を示している東南アジアにおける新たなハブだ。ここ10年ほどはゲーム市場も年平均で15%前後のペースで伸びているという。

 Department of International Trade Promotion(DITP/国際貿易振興局)やDigital Economy Promotion Agency(depa/デジタル経済振興庁)など,政府機関の援助を得て,昨年のgamescomや東京ゲームショウでも国家パビリオンを展示しており,今年2月には前述の「gamescom asia x Thailand Game Show」開催がアナウンスされた。非常にスムーズな成長を印象づけている。

パビリオンの前にタイやKoelnmesseの高官たちが集まり,蜜月な関係をアピールしていた
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 こうした時流を地元のゲームデベロッパも感じているのか,gamescom 2025のタイパビリオンに展示されていた15作品ほどのラインアップはなかなかのもの。じっくりと取材できたのはWereBuff Studioのホラーアドベンチャー「Kumarn: The Wandering Spirit」に限られたが,BitEggによる“ワルド”的な探し物ゲーム「Lost & Found Co.」,Vonder Gamesによるほんわかアドベンチャー「Aether Wizard Life」,Squadxが手掛けるムエタイスポーツシム「MTX26」,そして日本人とタイのハーフが主人公のサバイバルホラーというFourteen Rain Studioの「BeLost」といった新作も気になるところだ。

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BitEggのCEO,Richmond Lee氏。画面をじっくり見ながら落とし物を探していく,子供も大人も楽しめそうな「Lost & Found Co.」を開発中
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「MTX26」を開発しているSquadxのアメリカ出身のスタッフ。ムエタイ選手権とのスポンサー交渉を進めているという

 個人的にgamescom 2025を振り返ると,朝から夕方まで主にビジネスエリアとインディーゲームの第10ホールを足早に往来し,アポイントに追われた3日間だった。昼食の時間もなく,自分でもスケジュールを詰め込みすぎた感は否めない。とはいえ,取材班全体としては,gamescom 2025で押さえるべき話題作をほぼ網羅できたのではないだろうか。

インディーゲームが公開されていた第10ホール。広大なイベントスペースでも,かなり混雑している
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 時間も余裕もない中で予定外だったAesir Interactiveの「Windstorm: The Legend of Khiimori」(関連記事)や,Warhorse Studiosによる「キングダムカム・デリバランスII」の最新DLC「Legacy of the Forge」(関連記事)の飛び込み取材にも成功し,痒いところに手が届いたのは収穫だ。欲をいえば,インディーエリアや未訪問の国家パビリオンをじっくり巡り,原石を探し出す時間も欲しいところだったが,総じて見たいものを見て,会いたい人に会えたイベントだった。

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近年の東京ゲームショウも混雑ぶりはすさまじいが,35万人以上を集めるケルンメッセの人流コントロールも本気だ
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著者紹介:奥谷海人
 4Gamer海外特派員。サンフランシスコ在住のゲームジャーナリストで,本連載「奥谷海人のAccess Accepted」は,2004年の開始以来,4Gamerで最も長く続く連載記事。欧米ゲーム業界に知り合いも多く,またゲームイベントの取材などを通じて,欧米ゲーム業界の“今”をウォッチし続けている。
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