
インタビュー
[インタビュー]GhM完全新作「ROMEO IS A DEAD MAN」はなんなのか。須田剛一氏&山﨑 廉氏が語る,制限から生まれた原点回帰の混沌と熱狂
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2025年6月5日に配信されたPlayStationの情報番組「State of Play」で“特報(アナウンストレイラー)”が届けられ,「映像の意味は分からんがとにかくすごい雰囲気だ!」と印象に残ったという人も少なくないだろう。
2025年8月,4Gamerはそんな混沌と勢いの塊のような新規IPを生み出したGhMの本拠地・後楽園に突撃。総監督/脚本/プロデューサーの須田剛一氏と,ディレクターの山﨑 廉氏にインタビューを行い,一体どういうゲームなのか,そこに至るまでの開発経緯を聞いてきた。
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「ROMEO IS A DEAD MAN」公式サイト
狙い通りでつかみはOK! でも思っていたより即バレだったアナウンストレイラー
4Gamer:
GhMの完全新作,その名も「ROMEO IS A DEAD MAN」(以下,ROMEO)が発表されたぞ! ということで,いてもたってもいられずにこうしてやってきました。よろしくお願いします。
須田剛一氏(以下,須田氏):
よろしくお願いします。
僕たちもやっとこうして皆さんにゲームを見せられるというところで,スタジオにきていただけて嬉しいです。ありがとうございます。
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4Gamer:
6月5日に配信されたPlayStationの情報番組「State of Play」で初披露となりましたが,まずはその反響はどうでした? というのをお聞きしたいなと思います。
須田氏:
これがですね,めちゃよかったんです。
発表すぐにメールやメッセージがいっぱいいただけて。ゲームファンの皆さんには喜んでいただけました。
4Gamer:
トレイラーはどのあたりがウケたのかとか,ここは手応えあったなとかはどうでしょう。
須田氏:
内容については,最初のつかみからほぼ思惑通りではありましたね。
シットコム風なファミリーアニメで始めて,「なんだろうこれ?」と思っていただいたところでロミオがゾンビに襲われる急展開に。そこからカオスに持っていってアクションゲームを見せるという感じのイメージで。
4Gamer:
それで視聴者は,「このアクションの感じ,GhMだ!」でワーワー歓喜という。
須田氏:
ええ。ただちょっと計算外というか,分かる人は3秒でバレちゃってたんですよね(笑)。
4Gamer:
3秒! コケッコッコーってニワトリが鳴いて,白い家が映ったくらいの段階っ。
須田氏:
いやそうなんですよ。
スタジオのみんなそれぞれリアルタイムで見ていたわけですが,コメントに流れるわけですよね。「須田ゲー?」「GhMじゃない?」みたいな。それがすごい速度感だなと。
4Gamer:
ああでも,「あれ,これって?」みたいなのは最初から漂ってたというか。
私は食卓の陰謀論的な会話の内容や,「ロミオォォォォォォ!」で駆けつけての「あと15秒後にオマエは死ぬ」みたいなやりとりを見て確信に至りました。
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須田氏:
ああ,それは早いですね! 大体そのあとのロミオの目にデッドギアをぶっ刺さす瞬間に「須田ゲー?」ってなったみたいなんですが……。
4Gamer:
しかし3秒で反応した強者が。でもやっぱりインパクトあったのは,モノクロになってロミオの目をデッドギアがギュルギュルー! するところですね。
あそこはしびれました。「何だか分からないけど何かが始まる!」っていう感覚があって。
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須田氏:
あそこはカッコいいですよね。あのパートは仲良くさせてもらっている神風動画さんにお願いしました。水野貴信監督ディレクションで,デッドギアギュルギュルパートはの山口 晋さんに担当していただいて。
そんなふうにすぐバレたりもありましたけど,State of Playのタイムラインで盛り上がっていて,現場も喜んでいました。
SNSでも須田ゲーがトレンド入りして。ああでも,ゲームのタイトル名は入らなかったかと思いながら,でもよかったと。
4Gamer:
(笑)。最初はとにかく衝撃って感じで,「須田ゲー!」「死ぬワケね〜だろ〜!」「Dead Man!」「ロミオ!」みたいに,なんか段階的に理解できたというか。とにかくインパクトがありました。
須田氏:
ありがとうございます。いろいろなゲームがたくさん発表される中でインパクトを残せたなというのは,この場所を用意してくれたSIEさんに本当に感謝です。
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聖地・後楽園で作られた,ブラッディでハイスパートなアクションゲーム
4Gamer:
ゲーム自体のこれまでみたいなところをお聞きしたいんですけど,発表後の公式メッセージで「開発現場は全実装に向けて佳境に佳境を迎えています」とおっしゃっていて。
発売も来年(2026年)中ということで,けっこう制作が進んだ段階での満を持しての発表という感じだったんでしょうか。
須田氏:
そうですね。NetEase入りする段階で「次の完全新作はこれでいく」というのは決めていました。構想みたいなところからいうと5年くらいになります。
4Gamer:
2023年6月に配信された「Grasshopper Direct 2023!」という現実と虚構が入り混じった動画がありました(リンク)が,その最後に開発中のゲームをチラ見せしてましたよね。あれってつまり……。
須田氏:
ええ。これでした。
須田剛一氏が開発中の新作をチラ見せ。グラスホッパー・マニファクチュアの最新情報を届ける動画「Grasshopper Direct 2023!」が公開に

グラスホッパー・マニファクチュアは2023年6月15日,GhMの25周年を振り返りながら新情報を公開する最新動画「Grasshopper Direct 2023!」を公開した。リマスター版「シャドウ オブ ザ ダムド」の続報,新作かもしれない2つのトレイラー,まごうことなき新作の画面が披露されている。
4Gamer:
なるほど。結びつきました。
そんなROMEOですが,先ほどゲームを見せてもらいましたがあらためてどんなゲームなのかというのをぜひお聞きしたいです。
須田氏:
ゲームとしてはノーモア(ノーモア☆ヒーローズ)系で,GhMらしさのあるアクションゲームです。
開発当初は僕と山﨑のダブルディレクションみたいなスタートだったんですが,ある段階から僕が総監督で現場を山﨑が仕切るという形になりました。
山﨑 廉氏(以下,山﨑氏):
アクションの特徴としては剣と銃を切り替えて戦うところですね。
近距離と遠距離で武器を切り替えて,押し寄せる敵を蹴散らしていく。敵を倒すと血しぶきがあがり,ロミオは血を溜めるとブラッディ・サマーという大技を発動できるようになります。
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4Gamer:
先ほどゲームプレイを拝見したとき,武器の切り替えがサクサクッという感じでしたね。
山﨑氏:
アクションの爽快さは重視していて,武器の切り替えもテンポよく,気持ちよくというところは意識して調整しています。
武器はプレイを進めると新たなものが開放されていくのですが,たとえば近接武器は剣だけでなく拳による近接格闘があるように,武器種で異なるアクションが楽しめるのも特徴です。
須田氏:
で,いきなりでかいボスがまってます。巨大ボス戦はやりたくて,それをいきなりっていうところは,なんといいますか,カプコンさん的イデオロギーというか。
4Gamer:
なるほど。そこはアクションの名作群へのリスペクトが。
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山﨑氏:
基本のアクションはノーモアがベースにあるので,いままでGhMのゲームをプレイしてくれた人はなじみのあるかなと思います。
そこに飛び道具が加わり,ノーモアにはなかった戦いかたができるというのが,ROMEOで楽しんでほしい部分ですね。
須田氏:
つまりはストロングスタイルからハイスパートといいますか。僕らの開発のスタンスは猪木イズムの新日本プロレスのスタイルに近いと思うんですけども,そういう精神で取り組んでいこうというのはありましたね。
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4Gamer:
なるほど。さまざまな武器を使って近接だけでなく遠距離からもスピーディーに攻撃を繰り出し,大技で敵を一掃しフィニッシュに畳み掛ける。長州 力的な方向で。
って,自分で何を言っているのか分からないっ。
須田氏:
ははははは。維新軍的な。
4Gamer:
2022年の3月に後楽園ホールのすぐ近くにオフィスを移転されましたが,立地的にもやはりプロレス的な何か――名勝負が繰り広げられたプロレスの聖地から漂う何かがあって,その影響というのはあるのではないかとなんとなく考えています。GhMがそれの龍脈的な位置にあるみたいな。
須田氏:
僕らにとって後楽園ホールは聖地ですからね。武道館も頑張れば徒歩圏内です。それでいうと,磁場的にそれはあるのかもしれないです。
もちろん東京ドームやほかにも多くのホールやステージがあるわけですから,プロレス以外にもいろいろな表現エンタメの影響も,ですね。ただ,最近のドームはK-POPの興行が多いんですよ。でもまだK-POPの要素をどう入れるかの答えは出ていないんですよね。僕らはまだそこには追いつけていないので……。
……あれこれ,だいじょうぶですか? どこまでが本気なんだって怒られません?
4Gamer:
だいじょうぶです(だいじょうぶかな……)。
真面目な話,っていうと「ここまでは真面目じゃないのか!」って怒られそうですが,この3〜4年ほどでNetEaseグループ入りやスタジオ移転,新しいスタッフの募集などがあって,ROMEOはGhMの大きな変化がある中で制作されたと思うんです。
はたしてその状況で,ROMEOはどのように開発されてきたのかは気になるところでして。
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須田氏:
開発当初はUnreal Engine 5への切り替えみたいなところが大変でした。
「ノーモア★ヒーローズ3」までUE4で開発していましたが,次のゲーム開発,つまりROMEOはUE5で作ろうと。最初はやっぱりラーニングの時間が必要で,半年ぐらいはけっこうみんなUE5に慣れるための勉強や研究をしながらプロトタイプを作ってという感じでしたね。
それを進めながら新しい人にきてもらって,スタッフが少しずつ増えていってという。
4Gamer:
ゲームの試作と並行して,新たなチーム作りも行っていたと。
須田氏:
ええ。そんなイメージです。
4Gamer:
これまでのGhMにはないものを持った人たちが新たにメンバーに加わったと思うのですが,ゲームの作り方などに影響や刺激みたいなのはありましたか?
須田氏:
そうですね。もともとが30人くらいでいまは大体60人ぐらい。つまり半分以上が新しい人なわけです。
そのぶんゲーム制作の経験や作り方の考えもさまざまで,そういったGhMとは違う道場論を持ってる人の刺激はやはりありましたね。
4Gamer:
……道場論。
須田氏:
ええ。個々のこれまでの経験,得意とすることや考え方は尊重しながら,いっぽうで,うちはうちの道場論があって,そこにはやはり譲れない部分があるわけです。
僕たちは新日の上野毛道場,長州が現場監督になる前のスタイルですね。それでやっていますが,新しく入ってきた人が最初からそれになじめるかといったら,そうではないこともあります。そこは難しくて。
4Gamer:
たとえばかつての自分のいたところのやりかたで,受け身ばっかりやっている人がいると……。
須田氏:
「ちょっとこっちきて?」といって引き込んでからのボディシザースにもっていくみたいな。猪木さんのように,顎でも重心をコントロールするような。
僕ももちろん渕さんのスタイルは好きなんですよ。受け身や首を鍛えることは大事ですから。GhMにはGhMの大事にしているものを守りながら,新しい考えやGhMとは違うやりかたを取り入れ,うまく混ぜ合わせて個々の力を出してもらう。
それは簡単ではありませんでしたが大事なことでしたね。
4Gamer:
さきほどのUE5のラーニングの話を強引に絡めつつまとめると,つまりGhMはどちらかというとスパーリングが中心の道場論というわけですか。
須田氏:
そうですね。って,いろいろ言いましたけど,最近SNSでいろいろな道場論の話を見かけるので,つい読んじゃうんですよ(笑)。
それで道場論みたいな話になっちゃいました。
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“時空をまたぐ的”主人公ロミオの物語,世界観に込められたアレやコレの話
4Gamer:
何を話しているんだ? と思った人には,ネットやSNSで道場論とは何かを調べていただきましょう。
あらためてゲームの内容についてなんですが,今回の世界観やストーリーについて。
プレスリリースにあった説明文をまるっと引用しますが……。
主人公は“デッドギア“と呼ばれる超カッコいいマスクをまとった,FBI時空特別捜査官ロミオ・スターゲイザー。生と死を超越したロミオは,天才科学者の暴走で発生したタイムパラドックスによって崩壊し,虚無と化した時空をまたいで,最重要指名手配凶悪犯を狩る「デッドマン」となる!
この勢いのある一文の「考えるな,感じろ」「意味はあとからついてくる!」な感じが大好きで。
須田氏:
あはははは。ありがとうございます。嬉しいです。
4Gamer:
それもあって,「これ以上野暮なことを聞くな!」って自分でも思うところがあるのですが,ぜひご本人から「どんなゲームですか?」と説明をお願いしたいと。
須田氏:
主人公のロミオ・スターゲイザーは,FBI時空特別捜査官として次元が崩壊した世界をいわゆる時空をまたぐ的な活躍をします。
最重要指名手配凶悪犯を追いかけながら,行方をくらました謎の恋人ジュリエットを探すみたいなところがストーリーのメインですね。
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4Gamer:
アクションのステージをクリアしていくとストーリーが進むような。
須田氏:
そうですね。ストーリーは章立てのような流れです。
アクションのステージ中に亜空間につながるゲートのようなものがあって,そこをくぐるとまた別の場所に移動できるという形で,それがゲーム中における時空をまたぐ的な表現にもなっていますね。
山﨑氏:
アクションステージをまたぐ亜空間ではバトルはなく,パズルのような謎解きのステージになっています。
ゲームプレイとしてもそこで変化を出していますね。
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須田氏:
僕としては,亜空間でロミオは全裸になる予定だったんですが,ちゃんと服を着ています。
4Gamer:
全裸! でもなんか分かります。ワープ航法で裸になるみたいな。異次元に入るとき,はたして身にまとっている物質も持っていけるのか? というところで。
須田氏:
ええそうなんです。でも予算的にそこは難しくて。
山﨑氏:
いやそれは,予算の前に表現としての問題が。
須田氏:
あはははは。そうそう。いろいろ隠すアイデアは出しあったんですけどね。
4Gamer:
不思議な光が差したり,常に何か見切れてたりっていう(笑)。
ゲームプレイを拝見していて,全裸がどうこうの前にバイオレンス表現がけっこうレーティング的にギリギリを攻めているなと思いました。
流血もですが首をブチっみたいなところで。
山﨑氏:
ええそうですね。そのあたりは確認や調整を進めている部分です。
須田氏:
難しいところですけど,自分たちの「ここまで」という表現は守りながら調整していきたいと。
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4Gamer:
設定の話に戻ると,“時空をまたぐ的”な今回のテーマって,どのあたりからあったんですか?
須田氏:
以前からそういうのはやりたいなと思っていて,ROMEOでそれをやろうというのは最初からですね。
イメージ元としてあったのは,ビル・マーレイ主演の「恋はデジャ・ブ」(原題:Groundhog Day)や,それこそ「バック・トゥ・ザ・フューチャー」あたりですね。ロミオとじっちゃんはけっこうマーティとドクとの関係に近いんじゃないかなと。
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4Gamer:
時空をまたぐ的な設定の作品は昨今多く生まれていて,それもまたちょっと複雑な内容も多いですが,それらと違ってどちらかというとシンプルでクラシックなものという。
須田氏:
そうですね。基本の設定の分かりやすさは大事だなというのがあるのですが,ゲームプレイに入るまでの導入がプレイヤーの皆さんに強引かつ自然に受け入れてもらえるよう,試行錯誤しましたね
4Gamer:
最初に考えたものと今進んでいるものでけっこう変わったりはしましたか?
山﨑氏:
それはあまりなかったですよね。
ゲームの部分は開発途中で変わったり,調整しなければいけないところが出たりはありましたけど。
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須田氏:
ベースのところは変わらず,そこから山﨑や現場のスタッフと話して,「こういうものを入れられないか」とみんなでアイデアを出しあったり面白いモチーフなんかを入れてみたりしていったような感じです。
4Gamer:
そういうモチーフだったり,好きなものを盛り込んだりっていう感じがGhM作品の魅力のひとつですが,今回も見せてもらった部分だけでもいろいろあったなあと思いました。
とあるシーンで,画面に向けて指をさして「ドーン!」という,思わず「ワーッ!」と叫んでなにかしらに堕とされそうなカットがありましたが,もうあれもなんというか,結果的に先駆けていたというか。
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須田氏:
そうなんですよ。タイムリーにというか,まさか実写を撮っているなんてもちろん知らないですから。ああ,予見してしまった? と(笑)。
4Gamer:
未来を予見したゲームとして。そしてそれが追い風に(笑)。
あとゲームに登場するとある装置に,何やら意味がありげに表示される英語の3文字,FMWとUWFも気になりました。
須田氏:
これはプロレスファンの4Gamerさんにはぜひ見せたかったんですよ。
意味はというと,こういう装置に表示されるアルファベットの3文字的なものってなんだろうと考えたら,うん,これしかないでしょうという。
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4Gamer:
これしかなかった。なるほど。やはり他団体時代の根っこにあるこの2つが,というか。
またセリフにはNew World Order(新世界秩序)を略したnWoというワードが出てきましたが,NとOが小文字なところが印象的で,ロゴにしてTシャツにしたら売れそうだなと思いました。
あと,こうしてお話ししていて今さら気がついたのですが,主人公とヒロイン? が,ロミオとジュリエット(ROMEO and Juliet)なんですね。
須田氏:
ええ。でもそこはけっこう後付けというか。
4Gamer:
そこは後付けっ。
須田氏:
あはははは。
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4Gamer:
ほかにもあれは母艦? なんでしょうかね。この宇宙船はどういう形で登場するのだろうとか。
須田氏:
おっしゃるとおりあれはロミオの母艦のような存在で,イメージとしては「機動戦士Zガンダム」のアーガマですね。
宇宙船の中は,いわゆる拠点です。ほかの時空捜査官たちとの会話が発生します。ストーリーは基本的に一本の話を進めていく感じで,いわゆるサブシナリオみたいなのはないんですが,そのぶんこういったところでの会話を楽しめるような感じです。
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4Gamer:
この話をすると長引いてしまうと思いつつ,ガンダムというワードが出たので我慢できずこのタイトル名を出しますが……時空を行き来するとか,異なる次元がとかっていうROMEOの話って,須田さんが公式動画「キネマ51」でもがっつり語っていらっしゃった「機動戦士Gundam GQuuuuuuX」と遠からずというか,ドーン! と同じく予見しちゃったみたいなものを感じます。
須田氏:
ああ,それはもうニュータイプの共鳴ですね(笑)。
ジークアクスは,ガンダムという巨大なコンテンツがこういうものにという驚きはありましたよね。
サンライズさんやカラーさんにはご縁もありまして,実はROMEOの制作も参加していただいているんですよ。
4Gamer:
では,それはある種,裏ジークアクスと呼べるものでも……。
須田氏:
あはははは。いやでもさすがにそれはどこかから怒られそうです(笑)。
ただそうですね,ジークアクス放送中はガンダム好きのスタッフで盛り上がっていました。とても刺激を受けた作品です。
開発が進んでいる段階でのアニメの公開ではありましたけど,開発チームの話し合いで「こういう演出はいいよね。やってみたいね」という話にもなって。エフェクトの処理など,参考以上に影響を受けていますね。
そんなふうにですね。ゲーム自体の基本のところはできてからも,そういう話し合いは定期的に今に至るまで行っていて,面白いもの,好きなものを取り入れています。
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トラヴィスを超えてほしい――ロミオにかける期待とホーガンへの思い
4Gamer:
なるほど。それでですね,これは絶対聞かなくてはという話がありまして。
今回はノーモアがベースにあって,いろいろな敵が出てくるけどもちろん人型もいる。そうなると,ROMEOにはプロレス技は出るのかと。
須田氏:
そこはすごく悩んだんですけど,プロレス技はあまり出てこないです。
というのも,本作ではロミオにトラヴィスを超えてほしいって思いがあるんですね。そこでプロレス技をとなると,やはりトラヴィスという存在と比較しちゃうと思うんです。
山﨑氏:
なにより今回は銃を使った遠距離のアクションも楽しんでほしいというのがありましたからね。
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4Gamer:
トラヴィスといえば投げ技の使い手だから,今度は関節技というのは……と思ったのですが,なるほどそうですよね。新しいアクションがあるわけで。
須田氏:
そうなんです。ただバトルのフィニッシュムーブのようなものには,結局なんだかんだでプロレスの要素が入ってしまいました。最初のボスにはドロップキック的な要素が感じられると思います。
4Gamer:
ドロップキックでいうと,ノーモア3のデスキックのフォームがとても美しかったです。またそれとは違うものがくるのかなと。
須田氏:
ダグ・ファーナス系といいますか,西村式。西村選手のの伸びのあるドロップキックやミサイルキックといったところで。ドロップキックそのままがあるわけではないですが,どのような形でのムーブかは楽しみにしていてください。
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4Gamer:
さらにプロレスを引きずってしまいますが,先日あったハルク・ホーガンの訃報を受けてどんなことを感じましたか?
やはりプロレスファンとして世代的にも重要な人物で,須田さんの作品性にも何かしら影響を与えている人ではないだろうかと。
須田氏:
そうですね……ちょっと別格の衝撃みたいなのはありました。
僕の中でホーガンは,レスラーとしてはもちろん映画「ロッキー3」のサンダー・リップスでもあるんですよ。
新日のマットに立っていたホーガンが,映画でスタローンと対峙し,そしてWWFという大きな舞台で活躍する。しょっぱい外国人レスラーが高みへと昇り詰めるところ,スターになる瞬間を見てきたんだよなと。そんなふうに当時のことを思い返していました。
ICHIBAAAAAN!!!!!
— SUDA51/須田剛一 (@suda_51) July 25, 2025
4Gamer:
思っていた以上の衝撃がありましたよね。後年はいろいろスキャンダルもありましたが,ずうずうしくタフに生きていく人みたいなイメージがあって。
須田氏:
ありました。ありました。かつてのアメリカの豊かさ,強さの象徴みたいなところですよね。
それは今のアメリカとは違うわけですが,ひとつの時代が通り過ぎていったんだなと。
……あっ,あともうひとつ思い出したことがあって。実は僕,プロレスゲームを作っていたことがあるんですが※。
4Gamer:
そっ,そうだったんですか!
※詳しくはこちら。本文中ですっとぼけている取材陣ですが,本企画の担当者です
燃えよ,ファイヤープロレスリング! 〜亡きヒューマン,そして増田雅人氏に捧ぐ男達のバラッド〜

シリーズ第一作「ファイヤープロレスリング コンビネーションタッグ」が1989年に発売されて以来,多くのゲームファン,プロレスファンから愛されてきた「ファイヤープロレスリング」シリーズ。その生みの親である故増田雅人氏をしのび,シリーズに携わってきた須田剛一氏ら6名のクリエイターに,当時の思い出を語り合ってもらった。
須田氏:
実はそうなんですよ。その「ファイヤープロレスリングSPECIAL」で初めてシナリオを書いたんですが,最後の敵をリック・フレアーにしたんです。でも監修の斎藤文彦さんから「須田くんそれは違う。そこはホーガンだよ!」と言われて。
でも僕は「いや,絶対にここはフレアーです」と引かなかったという話も思い出しました。
4Gamer:
おおっ。貴重な話をありがとうございます。
斎藤さんとしては,トップオブトップと呼ばれたホーガンがやはり強さの象徴で,ラスボス的な存在としての考えがあったのでしょうかね。
須田氏:
ええ。でも僕にとっては反則負けにしても王座を退かない。そういうチャンプが一番強い。このゲームのシナリオとしてもやっぱりフレアーなんだと※。
リック・フレアーは今も自身の健康状態や病気と闘い,それを乗り越えていて。応援したいですよね。
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※それがどんなシナリオなのか,気になる人はこちらをご覧ください。なおこちらの企画の担当も,本インタビューの取材陣です
純須杜夫とはなんだったのか――「ファイヤープロレスリング ワールド」の新ストーリー「チャンピオンロード ビヨンド」配信を記念し,ルーツにある1人のレスラーの軌跡を振り返る

若きプロレスラー・純須純夫の物語を描く「ファイヤープロレスリング ワールド」の最新DLC「チャンピオンロード ビヨンド」のルーツに,とある1人のプロレスラーがいた。それは,純夫の父・純須杜夫――26年前に発売された「ファイプロSP」に収録され多くのプレイヤーに衝撃を与えた彼の歩みを振り返る。
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- 編集部:TeT
- 編集部:Junpoco
- カメラマン:永山 亘

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