業界動向
「DOOM」シリーズのid Software,全社規模の労働組合を結成。雇用不安などに対抗
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1991年に設立されたid Softwareは,FPSというゲームジャンルを開拓した「DOOM」や「Quake」などで知られるデベロッパだ。独立系のスタジオとしてさまざまなタイトルをリリースしたのち,2009年にZeniMax Mediaに買収され,ZeniMax Mediaは2020年にMicrosoftの傘下に入った。
発表によれば,id SoftwareのQA(品質保証)部門は2023年の時点ですでに組合を結成していたが,今回結成された組合は職種横断型(Wall-to-wall)」の労働組合であり,QA部門だけでなく,プログラマーやアーティスト,デザイナーなど,すべての職種を含むとのこと。
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こうした動きの背景には,ゲーム業界で続く大規模な人員削減への危機感があるとCWAは述べる。Microsoftは今年7月,約9000人におよぶリストラを実施したことを発表しており(関連記事),Xbox Game Studiosでは,Tango GameworksやArkane Austin,The Initiativeなどの有名スタジオが閉鎖に追い込まれ,さまざまなプロジェクトが中断を余儀なくされた。こうした動きに不安を抱いた従業員たちが雇用を守るため,法的拘束力を持つ交渉権を求めたわけだ。
組合に参加した従業員は,リモートワークは健康や家庭生活を維持するために不可欠であるにもかかわらず,雇用者側は出社を義務付ける方針を示しており,これに対抗する必要もあったと述べている。
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ちなみにCWAとMicrosoftは2022年に労働中立協定を結んでおり,従業員が組合結成を希望した場合,会社側は妨害行為を行わず,中立の立場を守ることを約束した。この協定により,ZeniMax MediaやActivision Blizzardなどの傘下企業では組織化が進んでおり,Microsft全体での組合員数は3600人を超えているとのこと。
こうした組合承認キャンペーンはゲーム業界全体で広がっており,「The Game Awards 2025」が開催されたロサンゼルスのPeacock Theaterでは,ゲーム開発者らによるデモが行われている。
今後id Softwareの組合はMicrosoftと労働協約交渉に入り,レイオフの際の退職パッケージの拡充や,リモートワークの権利確保,AI技術の利用に関する規定,そして健康保険などの福利厚生の改善が主要な議題となる見通しだ。
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